シークレット・プレジデント
麗しのVIPに溺愛されてます
【本体1200円+税】

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●著:玉紀 直
●イラスト:八千代ハル
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-4049-4
●発売日:2021/4/30

やっぱりアタシたち運命で結ばれているのかな

OLの杏奈は上司命令で、VIPである写真家を空港に出迎えに行き驚く。現れたのは、以前NYで危ないところを助けてくれた恩人、ハルだったのだ。女性だと思っていた人が男性だと知り動揺する杏奈。だが彼は以前と変わらず優しく魅力的で……「それなら私は、杏奈の前で男になっても許されるんだね?」ずっと忘れられなかった人に甘く愛され夢のようだけれど、彼の素性は相変わらず謎めいていて!?




 まさか、まさか。思い出の彼女が……。
「ラウンジかぁ、それより食事にでも行って、ゆっくり話がしたいな。……ねっ、杏奈」
 ――男……だったなんて……。
「杏奈?」
「あ……は、はいっ!」
 ついぼんやりとハルを見つめてしまった。慌てて返事をすると、ハルがちょっと肩をすくめて面映ゆい表情を見せ、クスリと笑う。
(……き……きれぃ……)
 小さなしぐさにさえ見惚れる。本当に、なんて綺麗な人なんだろう……。
 まったくもって、男性だなんて信じられない……。
(ハルさんが……男……)
 記憶が逆回転していく。今まで、初めてのキスが女性だったのに戸惑いがなかったことで、もしや自分は女性が恋愛対象でも大丈夫なのだろうか。……などと大きな秘密をかかえた気分になっていたが、ハルが男性ならば、そんな気分になる必要もないのだ。
(え……待って……、と、すると……)
 杏奈は……ハルのモデルになったとき、裸になっている。
 女性だと思いこんでいたからこそではあったが、ショーツ一枚で、ほぼ全裸だった。
 後ろ姿だけ。それでも、これは非常に恥ずかしいことではないか。おまけに、撮った写真を彼が所有しているのかもしれないのだ。
(は……はずかしいぃぃぃ――――!)
 それだけではない。あのころ、毎晩同じベッドで寝ていたし、お風呂上りにタオル一枚でハルの前を歩いていたこともある。
 逆に、ハルがお風呂上りに肌をさらしているのを見たことがない。朝だって早起きで、気がつくと着替えを終えていた。
 男性っぽい香りがしない。……というか、柔らかくとてもナチュラルな香りがして……心地よかった。
 ……スレンダーな人だから、バストは目立たないな……とは思っていた……。
 が、そんな身体的なことはいちいち口にするべきことではないし、スラリとしたかっこいい美人さんなので、かえってそのほうがサマになるとさえ思っていたのだ。
 当時のことを考えていると、あまりのことに眩暈がしてくる。こうなると、美麗な女性だと思いながら見惚れていたハルの微笑みにも、男性っぽさを感じてしまえるようになるから不思議だ。
「あ……あの、……すみません……。わたし、まだ仕事が残っていて……」
「ディナーは無理? いろいろお話したいな。半年前の思い出話とか」
 杏奈もしたい。楽しかったニューヨークでの話をしながら、ハルと盛りあがりたい。
 けれど、今はそんな気分になりきれない。こんなに動揺していては無理だ。
「……ヴィスナー氏をお迎えして、ご挨拶をするのが仕事だったんです……。終わったら、すぐに次にかからなくてはならないので……」
 お誘いは断るなという相田の言葉とニヤけた顔が思い浮かぶ。ある意味これは、身体で縁を作るより、その上をいく縁ではないだろうか。
 まさか……ハルが……。
 ハルは背筋を伸ばすと軽く腕を組み、造形美で形成された指を口元に持っていく。少しさみしそうな顔をする。
「そっかぁ……残念だけど、仕方がないね……。でも、次の機会には絶対……だよ? ね?」
 小首をかしげ、杏奈に約束をねだる。
(ハ……ハルさんっ、綺麗すぎますっ! かわいいですっ! やめてください、やめてくださいっ、尊すぎて見てるだけで泣いちゃいそうです!)
 真っ赤になる顔を押さえて床を転げまわりたい気分だ。男性だとわかっていても、なお、にじみ出る造形美の艶に、杏奈は自分を制御できなくなりかかる。
 このままハルの顔を見ていたら……確実に……。
(駄目だぁ! 泣くっ!!)
 最大級に引かれる後ろ髪を振り切って、杏奈はハルから顔をそらし名刺入れを出す。
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