悪役令嬢は異国で
イケメン作家に溺愛される
【本体648円+税】

amazonで購入

●著:森本あき
●イラスト:旭炬
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-2001-4
●発売日:2018/05/24

ぼくがきみを笑わせてあげる。

美貌の持ち主のラウラは、気が強そうに見えるため誤解されやすい。婚約者を寝取られた末に悪評を立てられ逃げてきた外国のカフェである日、見知らぬ男性に声をかけられる。うんざりしかけたが、なんと彼はラウラが愛読する冒険小説の作者、ファビオだった。「君がどれだけ感じてるのか見せて?」容姿だけで判断しない優しい彼に身を任せ、初めて感じた愛される悦び。ファビオはラウラの過去を知り彼女の名誉を挽回しようと言い!?



「ラウラは…」
ファビオがじっとラウラを見つめる。
「どうして、自分を大事にしないの?」
「だれも大事にしてくれないから」
思わず口に出てしまった言葉は、きっと、わたしの本音。
大事にされてない。大切に思われていない。
そのことが、ずっと心にある。
家族はちがう。家族はちゃんと愛してくれている。
それでも、わたしは自分に自信がない。いやな思いをたくさんしたから、この顔もきらい。
…自分がきらい。
そんなわたしのことを、もし、ファビオが抱いてくれたら。
欲情できるのだ、と教えてくれたら。
少しはわたしの中の何かが変わるだろうか。
それを知りたい。
「そんなにひどい扱いを受けたんだ?」
「ええ」
初等科のころも、少し年齢がいってパーティーに出るようになってからも。
…婚約者にも。
だめ、考えない。
ラウラはぶんぶんと首を振った。
それに、婚約者じゃない。もと婚約者だ。
「いま、だれのことを考えたの?」
「…昔の人」
「ラウラにそんなに悲しい顔をさせた男がいたんだね」
「…ええ」
悲しいというよりは、わたしっていったいなんだったんだろう、とむなしくなった。だれのことも信じられずに、親に勧められるまま、飛び出すように国を出てきた。
「ちょっと嫉妬するね」
「嫉妬…?」
「ラウラにそんな表情をさせた男に」
嫉妬する必要なんてない。親が決めた婚約者で、愛情なんてなかった。
それは、おたがいに。
それでも、もと婚約者は、結婚前にラウラとそういった行為をしたがった。会うたびに求められて、毎回、きっぱりと断った。
どうして、あんなにしたがったんだろう。
わたしのことなんて好きでもなんでもなかったのに。
わたしを切り捨てたくせに。
男なんて大っきらい。
いろんな目にあうたびにそう思ってきたけれど、もと婚約者の一件はラウラのその傾向をいっそう強めた。
なのに、わたしはファビオと楽しくおしゃべりをしたし、ファビオともっといたくて無理やりここまでついてきたし、いまはファビオに抱かれたがっている。
きっと、ファビオが特別なのだ。
だから、それをもっと特別にしたかった。
忘れられない記憶として、自分の中に閉じ込めたかった。
処女を捧げたら、絶対に忘れない。
「だったら、ファビオがもっとちがう表情にさせて?」
ラウラはファビオの肩に手を置く。本当は抱きつきたかったが、それは大胆すぎるような気がしてできなかった。
それもしょうがない。だって、なんの経験もないんだもの。
「困った子だね」
そう口にしたファビオの表情は、さっきまでとはちがっていた。雰囲気も変わっている。
どうしたのだろう。
「もう止まらないよ?」
ファビオがラウラの顎をつかんだ。
ああ、欲情してるんだわ。
それに気づいた。
ファビオがわたしに欲情している。
ファビオの顔が近づいてきて、ラウラの唇に軽く触れた。
ちゅぱ、と音をさせながら、唇が離れる。
…これが、わたしのファーストキス。
何かを失ったような感覚も、逆に、すごく嬉しいといった感情もない。
そっか、という感じ。
全部終わっても、そんなに感慨はないんだろうか。さすがに、もっとちがう思いを抱くのだろうか。
それは、いまはわからない。
「いいんだね?」
「…ええ」
ラウラはうなずいた。
迷いは、なかった。


「んっ…んっ…」
ファビオの舌がラウラの中に入ってきて、口腔内をまさぐる。体がふわりと浮くような感覚に、ラウラは戸惑ってばかりだ。
こんなキスがあることを、ラウラは知らなかった。本にはただ、キスをする、と書いてあるだけで詳細な描写はない。性愛の場面を詳しく書くと発禁処分になることは、だれもが知っている。
ファビオの書く冒険譚だって、好きになった女性とキスをしたあとはすぐに翌朝になり、ベッドでシーツにくるまって、ゆうべは楽しかったよ、とまたキスをする。そのゆうべに何があったのかは一切描かれない。
性行為がどういうものなのか、というのは知識としてある。だけど、具体的な内容はまったく知らない。
「ラウラも舌を動かして?」
いったん唇を離されて、そう言われても、どうしていいのかわからない。
ファビオのやわらかい舌がラウラの唇をそっとなぞってから、また中に差し入れられた。ラウラはどうにか応えようと、舌をファビオのに当てる。
「んんっ…」
舌先が触れ合って、すごくくすぐったい。それと同時に、ぴりっ、と電気のようなものが走った。
その感覚をもっと味わいたくて、ラウラは舌先を何度もファビオと触れ合わせる。
「んっ…ふっ…んんっ…」
ファビオの舌がラウラのに絡められた。
「んんんっ…!」

☆この続きは製品版でお楽しみください☆

amazonで購入

comicoコミカライズ
ガブリエラ文庫アルファ
ガブリエラブックス4周年
ガブリエラ文庫プラス4周年
【ガブリエラ文庫】読者アンケート
書店様へ
シャルルコミックスLink
スカイハイ文庫Link
ラブキッシュLink