悪役令嬢ですが破滅回避で体調不良を理由にイケメン公爵様から逃げたら、甘〜い溺愛で捕まえられました!【本体1300円+税】

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●著:千石かのん
●イラスト: 鳩屋ユカリ
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:9784815543365
●紙書籍発売日:2024/3/29
●電子版配信日:2024/4/30

わたしだけは特別扱いにしてくれないか?

自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと気付いたレティシアは、魔力を封じ体調不良を装う。
魔力が強いとゲームの舞台で破滅ルートに乗ると知っているからだ。
難を逸れ田舎の領地でのんびりする彼女の前に、ゲームの人気キャラである公爵ロジックスが現れた。
彼は何故かレティシアに興味を示し迫りだす。
「君はわたしに愛されて、感じて、求めている」
前世の推しキャラの甘い囁きに揺れるレティシアは!?



ゆっくりと意識が浮上し、ふっと目を開けたレティシアは一瞬、すぐ傍にいる存在に気付かなかった。
近すぎる距離に何かがあり、思わず手を伸ばす。それが、首元が開いたシャツとほどけかかったタイだと気付いた瞬間、弾かれたように起き上がった。
(なっ!?)
夏の遅い日没直後の部屋はまだうっすらと明るく、窓の向こうに広がる空は柔らかな水色だ。
身を起こしたレティシアは、同じベッドに横たわる存在に震える。
(な……なんで……なんで……)
じりじりと移動し、やがて背中が壁に当たる。
(なんでここにロジックス様が!?)
せっかく落ち着いていた心臓が再びばくばくと音を立て始め、レティシアはあまりのショックで真っ白になった脳内を必死に再起動させる。
ふと、眠りに落ちる前に扉の開閉音を聞いたような気がしたことを思い出した。
(まさか……抜け出す姿を見られてそれで……!?)
十分にありうる。彼はレティシアが灯台に居ることを知っているし、そうなれば、療養中だと言った彼女がどうして動き回っているのか、不審に思ったのだろう。
見られないように気を付けたつもりだが、とんだ大失敗だ。
(と、とにかく逃げなきゃ……こんな二人並んでベッドにいるのは絶ッッ対に駄目だッ)
日は沈んだばかりで、外はまだ明るい。だがもう、屋敷に戻ろう。
客人も日が落ちてからは外を出歩いたりはせず部屋にいるが遊戯室やリビングや図書室や……思い思いの場所で過ごしているはずだ。
窓から見られたら……とか、廊下で出会ったら、という可能性を綺麗に無視して、レティシアは慌ててベッドから下りようとした。
横たわるロジックスの足元を這うようにして乗り越え、素足で床に立ったところで背後から伸びてきた手に腕を取られた。
「ぎゃあ」
どう考えても上品ではない声が漏れた。
ぱっと振り返ると、上半身を起こしたロジックスがどこか眠そうな顔でレティシアを見つめている。
「どこに行く」
彼のもう片方の手が持ち上がり、前髪を掻き上げる。
そこはかとなく色気の漂う仕草に、レティシアはお腹の奥が震える気がした。足から力が抜けそうになり、堪えるように力を込めながら必死に訴えた。
「な、なな、なんで閣下がこちらにいらっしゃるんですか!?」
灯台に一人滞在しているレディの寝室に忍び込むなんて前代未聞だ。
そんな非難を込めて訴えれば、彼は数度瞬きした後、ひょいっと肩を竦めた。
「君の忠実なる侍女がここから出てくるのを見てね。ノックしたが返事がなかった。扉を引いたら不用心にも鍵が開いてたからね。確認するために上がってきたんだが……」
すっと距離を詰めた男がゆっくりと暮れて行く室内で妖しすぎる笑みを浮かべる。
「麗しのご令嬢が一人、ベッドに横たわっていらした」
ひいいいい、と心の中で悲鳴を上げながらベッドから離れて距離を取ろうとする。だが手首を掴んだままの彼はレティシアに続いてベッドから下りるとゆっくりと顔を近寄せた。
「起こそうかと思いましたが、あまりにも気持ちよく寝ていらっしゃるので……つい隣に……」
吐息がかかりそうな位置で囁いた後、男はすっと身体を離してにぱっと悪気無く笑う。そんなロジックスにレティシアは思わず噛みついた。
「こ、こんな狭い……しかもベッドで一緒に寝ていたなんて……だ、誰かに知られたら終わりですよ、公爵閣下!」
「ロジックス」
途端、唐突に指摘されて、レティシアは勢いを削がれる。そんな彼女にロジックスは涼し気に微笑んだ。
「わたしの名前だ、レティシア。公爵閣下なんて堅苦しい呼び方ではなく、名前で呼んでくれ」
(ひいいいいいいやあああああああ)
トンデモナイ色気に満ちた表情で、恐ろしいことを言わないでほしい。青ざめ、口をぱくぱくさせていると、再び身を寄せたロジックスが震えるレティシアの額に自らの額を押し当てた。
「熱がありそうだな。もう少し寝ていろ」
「けっ……結構です! それよりも公爵閣下」
「ロジックス」
「……ロ、ロジックス様! や、屋敷では恐らく晩餐が始まると思いますので、お早くお戻りになられたほうがいいのでは!?」
どうにかして彼との距離を取ろうと視線を逸らし、さりげなく胸元を押すが、いつの間にかレティシアの手首を掴んで腰を抱いている男は手を緩めない。
「こんな場所で療養している君を置いてはいけない」

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