可愛い双子とママは
スパダリ社長に愛されて
幸せです
【本体639円+税】

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●著:水島 忍
●イラスト:すがはらりゅう
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-87919-393-3
●発売日:2018/04/25

結婚したい。
君達と家族になりたい


大野栞里は都内のホテルでかつての恋人、高宮正毅と再会する。彼こそが栞里が密かに産み育てている双子の父親だった。気まずく別れたはずなのに、正毅は屈託なく話し誘惑してくる。今でも彼を好きな栞理は流されるまま抱かれてしまう。「こんなに感じやすくなっていたなんて」翌朝、我に返り、逃げるように部屋をあとにした栞里。けれど正毅は彼女を追ってきたばかりか、自分の子どもと知らないまま双子にも優しく接してきて!?




「おかえりなさい、ママ!」
いつも元気のいい舞依が飛びついてくる。ツインテールの可愛い女の子だ。そして、女の子のように可愛い顔をした男の子、幸毅も舞依とは違う方向から抱きついてきた。
「ママァ、おかえりなさい」
栞里は屈み込んで、二人を同時にギュッと抱き締め、かわるがわる頬擦りをした。
「ただいま。二人とも、いい子にしてた?」
「うん! マイちゃん、いい子にしてた!」
舞依は自信満々に言ってのけるが、いつも元気すぎて幸毅のおもちゃを取り上げたり、喧嘩という名の一方的な暴力を振るったりしている。とはいえ、いい子ぶりを疑うのはよくないことだ。
「舞依ちゃんがいい子にしてくれてたら、ママ、すごく嬉しいな」
栞里は舞依の頭を撫でてやり、幸毅のほうを見た。
「幸ちゃんは? いい子だった?」
「うん」
幸毅は深く頷いて、上目使いに見てくる。幸毅は舞依に比べるとあまり喋らないが、発語は個人差があるものだという。それに、男の子より女の子のほうがおしゃべりらしいので、今の時期にそれほど気にすることはないのだ。
栞里は微笑んで幸毅の頭も撫でた。
「幸ちゃんもいい子ね。ママ、嬉しいよ」
すると、幸毅はにっこり笑った。その満面の笑みが愛しくてたまらない。だが、いつまでもここでグズグズしていてはいけない。やることはたくさんあるのだ。
栞里は立ち上がって、買い物バッグを手にした。すると、二人は栞里にまとわりつくようにして、ついてきた。
リビングにはおもちゃがたくさん散らばっていて、ソファには義理の伯父が座っていた。
伯父は栞里の伯母の夫で、もう定年を迎えて年金暮らしをしている。昼寝の時間を除いて、朝から晩まで双子に振り回されているから、この時間にはいつも疲れているようだ。
保育園に預けることができればいいのだが、なかなか上手くいかなくて、伯母夫婦に迷惑をかけていることが心苦しい。二人とも、双子の世話は楽しいと言ってくれているが、たまにならともかく、毎日ではやはり大変だろう。
キッチンでは伯母が夕食の準備をしているところだった。栞里は挨拶をして、買ってきたものをエコバッグから取り出し、冷蔵庫やパントリーに仕舞っていく。その間も双子は栞里にまとわりついていた。
子供達に周りをうろうろされると移動しづらい。とはいえ、帰ってきて、見向きもされなくなったら悲しいに違いない。こうしてまとわりついてくれるということは、子供達が自分を好きでいてくれるという証拠なのだ。
夕食の時間も子供達に食べさせることのほうが先だ。
二人ともスプーンを持つことはできるが、自分で食べるというよりは半分遊びみたいなもので、すぐに飽きてしまう。きちんと食べ物を摂取させるためには、宥めすかしながら食べさせてやらなくてはいけない。
それぞれ子供用の椅子に座らせ、エプロンをつけさせているものの、食事が終わったときには、口の周りやら手やらが汚れている。食べ物も周囲に散らかっていることもあり、なかなか大変だ。
伯母と栞里がそれぞれ子供達に食べさせて、先に食べた伯父が食事の終わった子供達の相手をしてくれる。その間に、伯母と栞里が食べるのだ。
双子ではなく、一人だったらどれほど楽だったろう。だが、双子として生まれてきたのは仕方がない。今更、どちらか一人を選べと言われても、どちらの子も可愛いのだ。結局、双子でよかったのだと思ってしまう。
後片づけを始めたとき、突然、ドアチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だろう。宅配か何かなのかと思いインターフォンの画面を覗くが、夜だと顔がよく判らなかった。
「はい。どちら様ですか?」
『栞里……。僕だよ』
声を聞いて、すぐにそれが誰だか判った。
正毅だ……!
どうしてここが判ったの?
栞里は愕然とした。今すぐ逃げ出したいと思ったが、逃げる場所はない。今更、ここにいないふりもできなかった。
会わずに済ませることはできない。追いつめられた気分になったものの、他に方法はなかった。
「……ちょっと待ってて」
インターフォンを切ると、栞里は玄関の扉を開いた。
一週間前に会ったばかりの正毅がそこにいて、栞里はドキッとした。彼は厳しい顔つきで栞里を見つめている。
「どうしてここに……? わたしの住んでいるところがどうして判ったの?」
「プロはヒントがあれば、調べられるものなんだよ」
探偵か何かに依頼したということだろうか。
「でも、わざわざ調べるなんて……!」
「電話しても繋がらないしね。あんな別れ方をするなんて、いくらなんでも失礼じゃないかな?」
栞里は顔が赤くなるのが判った。確かに黙って彼の腕の中から抜け出して、脱兎のごとくこの町に帰ってきたのだ。
「と、とにかく今日は帰って。お願い!」
「せっかく訪ねてきたのに、君は……」
彼は突然、栞里の後ろを見て、目を見開いた。はっとして振り返ると、いつの間にか双子がすぐ後ろまで来ていた。
ああ、どうしよう!
子供達の存在に気づかれたことで、栞里は絶体絶命の気分になった。
正毅は栞里に視線を戻して、唸るような声で尋ねてきた。
「双子か?……君の子供だな?」

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