初恋王子の溺愛プロポーズ
【本体639円+税】

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●著:池戸裕子
●イラスト:なま
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-87919-394-0
●発売日:2018/04/25

ずっとこうして
好きなだけキスしたかった


祖母の頼みでお見合いをした井上美月の相手は、自分好みのルックスのエリート、久坂達也だった。迷いつつ距離を置こうとする美月に、達也は付き合いを迫ってくる。スマートに振る舞いながら時々意地悪な彼に既視感を覚えるが、それもそのはず達也は親の離婚で苗字の変わった幼馴染みだった。「あの頃から全部を俺だけのものにしたいと思ってた」初恋の人に囁かれ抱かれて知る悦び。ところが謎の女性から彼と別れろと電話があり!?




「俺にだけ見せてよ」
美月を耳から蕩けさせる甘い声がまた、囁いた。
胸を抱く指から力が抜けていく。
「中学の頃、男子が集まるとよく美月の話が出た。スタイルいいよな、足は長いし痩せてるし、でも、胸はしっかりあるところがすごいよなって、みんな騒いでた」
わずかなためらいを含んだ声が告白する。
「そういう話をした日の夜は、俺は一人になるとどうしても想像してしまうんだ。美月の裸はどんなに綺麗だろうって」
──達也……。
「美月の胸に触ったこともないくせに、柔らかくて温かい感触を思い出そうとしてみたり、馬鹿みたいに必死だった」
美月が熱い息を洩らす。
思春期の少年であれば、誰もが胸に抱える秘密なのかもしれない。だが、王子様として女の子たちに神聖化されていた当時の達也は、そうした生々しい感情とはおよそ縁のない爽やかなオーラをまとっていた。
だからこそ美月は、達也の告白に余計にドキドキと胸を高鳴らせていた。
──達也!
美月は強く瞼を閉じた。
──私もそうだったんだよ。
美月も同じだったのだ。みんなでプールに遊びに行った時、水着姿の達也から思わず目を逸らしてしまったことがあった。女の自分にはないたくましさが、美月の瞳に眩しく映っていた。今まで感じたことのないときめきを持て余していた。自分よりも弱くて頼りなかった、守ってあげたかった『達也君』は、今はもう思い出のなかにしかいないことに気づかされた瞬間だった。
「見せて、美月」
頑なだった美月の肩が落ち、胸を隠した腕が解ける。
「俺だけが全部見てもいいんだ」
彼の甘えてねだるような言い方に、美月の心は疼いた。
あの頃、達也に憧れていた女の子たちの知らない彼がここにいる。今まで彼がつき合ってきた女性たちの誰も見たことがないかもしれない達也が、自分を抱いている。それだけで美月は、達也のしたいことはすべて受け入れたい気持ちになった。
達也は美月の両手の指に指をからませ、シーツに縫い止める。
剥き出しの乳房がツンと熱くなった。
真っ直ぐに注がれる彼の視線の熱さだ。
美月は羞恥に顔を背けていた。
でも、どんなに恥ずかしくても、
「想像してたよりもずっと綺麗だ」
そう言われれば、嬉しい。
「あ……っ」
右の乳房にキスされ、美月は高い声を上げた。
達也のキスはその場所に留まり、何度も繰り返される。
「美月……」
「……あ……や……」
「俺のほかにもこんなふうに美月に触れた男がいると思うと、腹が立つ。我慢できない」
「た……つや……」
「俺はそいつに負けたくない」
達也がたった今までキスしていた乳房を握った。心ごと掴まれた気がして、美月のなかに胸が苦しくなるような悦びが広がった。
「だから──」
こうやって美月に触れて、その男よりも美月を気持ちよくしてやれれば俺の勝ちだと、達也は子供染みた理屈を口にした。
「そいつの記憶に俺が上書きしてやる」
達也は二つの乳房を両手で包んだ。瑞々しく張りつめた美月のそれは、彼に揉まれて形を変える。
「ん……」
乳首の周りにキスを散らされ、美月は何度も唇を結んだ。
──くすぐったい。
でも、そのくすぐったいが気持ちいいのだ。
結んだつもりの唇はすぐに綻び、アンアンとまた喘ぎはじめる。美月は自分の声にさらに羞恥を掻き立てられる。
「達也……」
やはりそうだ。大学時代の恋人が与えてくれたものとはまるで違う。達也の愛撫から生まれる快感と切なく疼く心の痛みとが、交互にやってくる。寄せては返す波のごとく、美月を翻弄する。
「あ……っ」
突然、無防備な先端に口づけられ、美月は身を固くした。
「大丈夫。上書きなんかすぐだ。俺なら胸だけで達かせてあげられるから」
「そんな……」
「それぐらいのテクはあるぞ」
湯のなかに頭から放り込まれたみたいに、美月は全身を熱くしていた。
どんな馬鹿げた勝負だろうと、美月の前カレの上に立てるなら受けて立つ。そっと合わせた達也の眼差しが、美月に教えている。
「ひ……あ」
たった今キスされた場所を今度は軽く噛まれて、美月はおかしな声を上げてしまった。
「美月もすごく感じてくれてるみたいだし。さっきから声が可愛すぎる」
まるで快感のボタンだ。しゃべる達也の息が胸をかすめるだけで、桜色に染まったそこからじわりと悦びが広がった。彼の唇に含まれ舌先でくすぐられるたび、美月の足がもどかしげにシーツを掻いた。スーツのスカートはとっくに乱れて、膝の上まで捲れている。
テクとか、感じやすいとか、そんな理由ではなく──。
美月の心の声が訴えている。
──達也だから……!
「あ……やぁ」
乳房を大きく揉まれる。愛撫を待ちかねているかのように突き出された先端は、代わる代わる押しつけられる唇の餌食になる。
「達也……っ」
羞恥と快感の狭間でもがく美月だが、その苦しさは今まで味わったことのない幸福感と背中合わせだった。
美月にはもうわかっている。胸を愛されるだけで自分でも戸惑うほどに乱れてしまうのは、相手が達也だからだ。
前カレと達也と、戦う前から勝者は決まっていた。けれど、まったくそうは思っていないのだろう達也の愛撫は、熱を帯びてくる一方だった。
「……美月……」

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