運命の蜜夜に溺れて
俺サマ御曹司と秘密のベビー
【本体685円+税】

amazonで購入

●著:御堂志生
●イラスト:氷堂れん
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-2009-0
●発売日:2018/08/25

君に会いたかった

とある学校で教諭をしている椎名弥生は、事情があって結婚を半ば諦めていた。だが、ひと夏の思い出作りにと訪れた軽井沢のコテージでそこに勤める藤崎忍に恋をし初めてを捧げる。「感じるだろう? ここが君の一番深い場所だ」優しい彼と素敵な時間を過ごし元の生活に戻った弥生は、藤崎の子を身ごもったことに気付く。動揺して悩んでいたとき、結婚相手にと紹介された大企業の若社長が、名前と身分を偽っていた藤崎だと知り!?




「遅い。もう、来ないのかと思った」
まさか、藤崎が待っていてくれたとは思わなかった。
それも切羽詰まった声で言われ……弥生はそのことにビックリする。
「みんなが寝静まるまでって思ってたら、こんな時間になっちゃって……でも、待っててくれたの?」
「いいや、って言いたいとこだが……ロフトの窓から、コテージの方向をずっと見てた。なんだろうな、こんな浮かれた気分は初めてだ」
その言葉が嬉しくて、彼の顔をジッとみつめる。
ありがとう、嬉しい――なんと言って返せばいいのか、弥生が答えを出せずにいたとき、唇を押しつけられた。
人生で二度目のキスだった。キャビンの玄関で絡み合うように抱きつき、激しく唇を押しつけ合う。
彼の手に頭を支えられ、ほんの少し上を向かされた。
すると、弥生の唇はごく自然に開き、その隙間から藤崎の舌が入り込んできたのだった。
「ん、んっ……んんっ」
声にならない声が、重なったふたつの唇の間から漏れてくる。
ぬめりのある舌が唇の内側をなぞり、そのまま歯列を舐め回す。彼の舌は逃げ回る弥生の舌を追いかけるように、口腔内を縦横無尽に暴れ始め……。
たちまち息苦しくなり、弥生は彼から唇を離した。
「俺が怖いか? だったら、無理には」
「怖くない! 藤崎さんのこと、怖くなんてありませんから……だから……」
今度は弥生のほうからチュッと押し当てるだけのキスをした。
次の瞬間、藤崎は彼女を横抱きにしたのだ。
「じゃあ、天窓のあるロフトのベッドに案内しよう」
小さなキャビンなのであっという間に奥までたどり着く。ロフトに上がるはしご段のところで彼女を下ろしてくれた。
そのまま、彼は弥生の足元に屈んで靴を脱がしてくれる。
「はしご段は上れるかな?」
「それくらい……」
弥生が一段目に足をかけ、上り始めると……藤崎は彼女の身体に覆いかぶさるように、ピッタリと自身の身体を添わせた。
しかも、下腹部を弥生のヒップに押しつけ、太ももで彼女の内股を持ち上げてくる。
あまりに密着してくるので、弥生は足を踏み外しそうになった。
「おいおい、本当に大丈夫か? 薪割りもずいぶんへっぴり腰だったし」
「あ、あれは……斧を持ったのなんて、初めてで……いえ、それ以上に、藤崎さんが、今みたいに身体をくっつけてくるから」
上がりきると、そこには四畳半くらいのスペースがあった。
正面に窓がある。彼はここから、コテージに繋がる通路を眺めていたのだろう。そして弥生の姿を見つけ、慌ててはしご段を下り、弥生より早くドアを開けてくれた。
そんな彼の姿を想像するだけで、頬が緩んできてしまう。
斜めになった天井は端にいくほど低い。弥生でも立ち上がったら頭を打ちそうだ。天井からはアンティーク風のランタンが吊るされ、琥珀色の光を放っている。
床は板敷きで、ベッドというよりマットレスが無造作に置いてあるだけだった。その上に布団が敷かれていて、転がって見上げる位置に天窓が見えた。
弥生はロフトの上を座ったまま移動して、上がってくる藤崎のほうを振り返る。
「でも……藤崎さんが手を取って教えてたのは、子供たちばっかりだったのはどうして?」
「今のご時世、年齢関係なく、ご婦人の身体にちょっとでも触れると、すぐにセクハラになるからな。俺が手を取って教えることができるのは、男の子くらいだ」
「え? じゃあ、わたしは?」
「あまりに危なげだったから、手を貸さずにいられなかった……と、上には報告しておいた」
ロフトに上がってきた彼は、笑いながら一気にシャツを脱ぎ捨てる。
布地越しに想像していたものと同じ、逞しい男性の半裸だった。さすがに目のやり場に困り、弥生は横を向く。
「ボーッと見てないで、君も脱ぐんだ」
「自分で?」
こういった場合、服は男性が脱がせてくれるものだとばかり思っていた。
「好きだから、抱いてください――なんて言われたら、手を出すつもりはなかった。でも君には、ずっと抑え込んできた欲望が衝き動かされた。いわゆる、性衝動ってヤツかな」
彼は心ではなく躰が反応したと言う。
それは弥生が女性として認められた、という意味だろう。その言葉は嬉しい反面、複雑なものを感じる。
「教えてほしいんだろう? あの先にある快感を。教えてやるから、ほら、自分で脱ぐんだ。俺たちの中にある熱を分け合おう」
彼の言うとおり、弥生の中にも藤崎と出会った瞬間、生まれた熱がある。
これがひと目惚れという現象に違いない、と思っていたのに……。
ひょっとしたら、間違っているのかもしれない。昨夜から感じ続けているこの思いは、長年抑え続けた性的欲求が表面化しただけ、という可能性もあった。
(それでもいい。この思いが……ただの性衝動でもかまわない。わたしも、自分が女だって知りたいから)
弥生は膝立ちになり、リゾートワンピースの背中のファスナーに手をかけた。
ワンピースの下はブラジャーとショーツだけ。それも、特別な夜のために購入したシルクのセットだ。本当に身につけることになるかどうかはわからなかったが、ワンピース共々、用意してきてよかったと、ホッと息を吐く。
彼に背中を向けて、弥生はブラジャーのホックも外した。
胸の辺りに解放感が広がった瞬間――。
「ひゃう!」
背後から回された手に両方の胸を鷲掴みにされ、ビックリして変な声が出てしまう。
「おいおい、こういうときは、もっと色っぽい声を出すもんだぞ」
「急に……触る、から」
「触りたかったんだよ。昨日見たときから……悪いか?」
肩口に唇を押し当て、藤崎は意外にも恥ずかしそうに言う。
「触っても、よかったの、に」
「馬鹿言え。昨日も、こうなってたんだぞ。バージンにはわからないかもしれないが、ここから引き下がるのは大変だったんだからな」
ショーツの上から、硬い棍棒のようなものが押しつけられた。
それが何か、未経験の弥生にもすぐにわかり……。
「昨夜、しなかったのは……わたしのため?」


☆この続きは製品版でお楽しみください☆

amazonで購入

comicoコミカライズ
ガブリエラ文庫アルファ
ガブリエラブックス4周年
ガブリエラ文庫プラス4周年
【ガブリエラ文庫】読者アンケート
書店様へ
シャルルコミックスLink
スカイハイ文庫Link
ラブキッシュLink