無表情御曹司は新妻と
イチャイチャしたい
【本体685円+税】

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●著:佐々千尋
●イラスト:要まりこ
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-2010-6
●発売日:2018/08/25

愛している。きみを傷つけたくない

加納唯香は父が遺した負債の肩代わりを条件に、大企業の御曹司、小早川健と結婚した。会社に都合がよい女性なら誰でもいいと言う健は結婚後も唯香に触れてこない。焦れた唯香は彼を拘束し強引に行為に持ち込むと、最初は抵抗した健も、以後は唯香と抱き合うように。肌を重ねるうちに彼の不器用な優しさを知り、好きになる唯香。「あの時の俺がどういう気持ちだったのか、きみも知ればいい」無表情だった彼も次第に積極さを見せ!?




「本当に寝てるだけで平気?」
「……大丈夫だ。迷惑をかけてすまない。きみももう休んでくれ」
そう言われても、彼をこのまま放置するのは心配だ。
「お水とか、持ってこようか? 酔っている時は水分補給したほうがいいんだよね」
ほとんど独り言と変わらない質問をして、答えを待たずに踵を返す。ミネラルウォーターを取りにキッチンへいこうと一歩踏み出したところで、パジャマの袖をぐんっと引っ張られた。
驚いて健さんのほうに向き直ると、彼の手が私のパジャマを握り締めている。
「健さん?」
どうしたのかわからなくて声をかけたけど、彼は目を瞑ったまま答えない。なんとなく「いかないで」と言われたような気がして、私は彼のベッドの傍らに座り込んだ。
健さんの横顔をじっと見つめた。一緒にいることが少ないせいで忘れかけていたけど、本当に整った顔をしている。彼がちょっと人間離れして見えるのは性格だけじゃなくて、この完璧な容姿のせいもあるんだろう。
そうしてただぼんやりと健さんを眺めていた私は、彼が小さく呻いたことでハッと我に返った。
「どうしたの。大丈夫?」
「……暑い」
半分寝ているのか、健さんはぼそっと呟いて、自分の襟元に空いているほうの手を当てる。そして、少し緩んでいるネクタイの結び目に指をかけ、無理やり引っ張り始めた。
「あ、だめ。そんなふうにしたら首が締まっちゃう。今取ってあげるから、待ってて」
私は、パジャマの袖を掴んでいた彼の手をちょっと強引に離して、自由になった両手でネクタイを抜き取った。続けてワイシャツのボタンをいくつか外してあげる。
首回りが楽になったおかげか、健さんは穏やかな表情でほうっと息を吐いた。
目は閉じたままだけど、いつもの真顔より何倍も素敵で、胸の鼓動がせわしなくなる。彼の顔をもっとちゃんと見てみたくて、勝手に眼鏡を外した。
うわ……やっぱり格好いい……。
心の中で驚きの声を上げて、口元を手で押さえる。
更に近くで、できれば真正面から見たい。私は抜き取ったネクタイを畳んでサイドテーブルに載せ、その横に眼鏡を置いた。
……健さんはたぶん寝ぼけてるし。傍で見てもバレないよね?
誰にともなく言いわけをしたあと、私は健さんの身体を跨ぐようにして、ベッドに乗り上がる。膝立ちの体勢で彼の顔を覗き込んだ。
あー、うん。いい。顔だけなら凄く好みのタイプ。
しばらくそのまま見惚れていたけど、さすがに私の気配を察知したのか、健さんが薄く目を開けた。
「……唯香?」
少しかすれた声で名前を呼ばれた瞬間、ドクッと心臓が跳ねた。
おかしな焦りを覚えて身を引く。ちょっと慌てていたせいか、ベッドが弾んでバランスを崩し、私は健さんの上に腰を下ろしてしまった。
「わっ」
「う……」
いきなり身体の上に乗られて苦しかったらしく、健さんはまた目を閉じて小さく呻く。
「あ、ご、ごめんなさい!」
反射的に謝り、退けようとしたところで、私のお尻に何か硬いものが触れた。
ん!? 何これ?
とっさにはその正体がわからなくて、下を覗き込む。見れば、ちょうどそこは健さんの足の付け根で――。
「きゃ……!!」
口から飛び出しそうになった悲鳴を、両手で押さえ込む。今、私のお尻の下にあるものが、健さんのアレだというのは間違いなかった。
かあっと顔が火照り、変な汗が噴き出す。
それにしてもやけにゴツゴツしているし、かなり大きい気がする。まさかいつもこんなに硬くなっているとは思えないから、彼は現在進行形で性的に興奮しているのだろう。理由はわからないけど。
まるで健さんの興奮がうつったみたいに、私のドキドキも加速していく。興味本位で少しだけお尻を揺らすと、彼は眉根を寄せて密やかな吐息をこぼした。
……なんか、凄く艶めかしい。
普段、ロボット並みに無表情な健さんが、こんなふうになるとは思っていなかった。
胸の鼓動が更に激しくなり、醒めかけていた酔いが戻ってきたようにクラクラしてくる。さっき友達が『こっちから襲っちゃいなよ!』と言っていたのを思い出した。
もっと、見てみたいな……健さんが快感に溺れて乱れるところを。
今の彼ならきっと抵抗できない。友達の言葉の通りに自由を奪って、気持ちいいところを刺激したら、どうなるんだろう……?
頭のどこかで理性的な私が「だめだ」と叫んでいるけど、いけないことだと意識すればするほど、仄暗い興奮を感じてしまう。
私はそっと身を起こして、サイドテーブルに手を伸ばす。そこに置いてあったネクタイを取り、健さんの両手首に巻きつけた。
うっ血しないように緩く結んでから、腕を上げさせる。眠りかけている彼は、自身に起きていることにまったく気づいていないらしく、私のなすがままだった。
ワイシャツのボタンを全部外して、胸とお腹を露わにする。思ったよりも筋肉質な身体にまたドキドキした。
彼の素肌にそっと手を這わせると、冷たかったのかピクッと震えた。
内心で「ごめんね」と謝ってから、ゆっくりと撫で下ろす。少し汗ばんだ肌が妙に生々しくて、こくんと唾を呑み込んだ。
こんな変態っぽい行為に興奮しているなんて、自分でも信じられない。でも、やめられない。
女性とは違う、平たい胸を何度も撫でているうちに、真ん中の突起がぷくりと起ち上がった。
飾りでしかない彼の乳首は濃いピンク色に染まり、いじらしく存在を主張して震えている。その姿が可愛いような、可哀想なような気持ちになって、私はそっと唇を押し当てた。
女性ほどではないんだろうけど、男性の乳首もまあまあ敏感らしい。唇に挟んで軽く扱くように刺激すると、健さんは肌を粟立てて大きく身じろぎをした。
「ん……なん、だ……くすぐったい……」
まだ夢うつつなのか、言葉がたどたどしい。「気持ちいい」ではなく「くすぐったい」と言われたことに、なぜか負けたような気がして、私は舌で擦るように舐め上げた。
繰り返し舐めて、時折吸いつく。口をつけていないほうの突起は指先で押し込むようにして捏ねた。
段々、健さんの息が浅くなってくる。呼吸の合間にかすかな喘ぎも混じり始めた。
少しだけ調子に乗って軽く歯を当てた瞬間、彼が大きく仰け反った。
「あうっ! ぁ……ん、え……?」
急に声がはっきりしたものに変わる。恐る恐る顔を上げて健さんに目を向けると、彼は信じられないものを見たようにまばたきを繰り返していた。
しまった! ちょっとやりすぎて目が覚めたようだ。
「きみ、一体何を」
「ふ、夫婦なんだから、いいでしょ。エッチなことしたって……っ」


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