竜騎士は
姫君に永遠の愛を誓う
幾たびの蜜夜を
【本体685円+税】

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●著:すずね凜
●イラスト:ウエハラ蜂
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-2016-8
●発売日:2018/11/24

何度でも達くといい。乱れたあなたを見たい

デルネイド国の王女アルフォンシーヌは、異端の血とされるドラゴンアイの持ち主であった。そのため父からも忌まれ塔に幽閉されていた。彼女の護衛騎士となったイザークはその目を美しいと言い、永遠の忠誠を誓う。「いけません。そんな目をしては」月のない夜、密かに愛を交わし、互いを確かめあう二人。初めて知る悦楽と恋の喜びに浸るアルフォンシーヌだが、イザークが実は父が滅ぼした国の王子で自分の命を狙っていたと知り!?




「だから、第一王位継承者の君と現王太后の息子の僕が結ばれれば、僕たちが王位を手に入れるんだ。若くて美しい新たな国王夫婦を、今の王政に不満な国民も喜んで受け入れるさ。そうすれば、君は女王としてこの塔から出て、城で堂々と暮らせるよ。どうだい? いい話だろう?」
アルフォンシーヌは得々と喋るグレゴリーの顔を、呆然と見つめていた。
「なにをおっしゃっているのか、わからないわ」
吐き出すように答えた。
グレゴリーはアルフォンシーヌが見るからに不快な態度を示しているのに、全く気がつかないようだ。それどころか、テーブルの上に置いたアルフォンシーヌの手を、いきなりぎゅっと握ってきたのだ。
「アルフォンシーヌ、好きだよ」
強く手を引かれ、アルフォンシーヌはグレゴリーの胸に倒れ込むような形になった。
「きゃ……っ」
抱きしめられて、アルフォンシーヌは悲鳴を上げた。
「なにをするの!? 無礼な、離して……!」 
グレゴリーの腕から逃れようと身を捩ると、さらに強く抱き竦められ、そのまま顔を寄せられた。
唇を奪われる――。
「いやあっ」
首を振って顔を背けた。
と、次の瞬間、鋭く光る抜き身の長剣が、目にも止まらぬ速さでグレゴリーの首筋に押し当てられたのだ。
イザークが殺気に満ちた表情で、グレゴリーを背後から羽交い締めにする。
「わっ!」
グレゴリーは驚愕して、思わずアルフォンシーヌを離した。アルフォンシーヌは素早く身を引く。
「――姫君、大丈夫ですか?」
イザークの声は冷静だったが、右の眉がぴくぴく震えていて、彼が激怒していることがアルフォンシーヌにはわかった。
「ええ……なんとか」
声が震えている。
「この――下級騎士の分際で、不敬であろう! 離せ!」
グレゴリーがイザークのたくましい腕の中でじたばたもがきながら、喚いた。
「私は、王太后陛下から直接任命された、王女殿下付きの護衛騎士である。私の行動に不満があるのなら、王太后陛下に訴えられるがよい」
静かだが威厳に満ちたイザークの口調に、グレゴリーは圧倒されたように押し黙った。グレゴリーは、権力をほしいままにしている実母の王太后に頭が上がらないのだ。
グレゴリーの抵抗が止むと、イザークはゆっくりと腕を解いた。グレゴリーは這いつくばってイザークから離れる。彼はよろよろ起き上がる。
「くそぉ、覚えていろよ、貴様! アルフォンシーヌ、僕は諦めないからな!」
グレゴリーは下品な捨て台詞を残すと、食堂を飛び出していった。
転がり落ちるように螺旋階段を駆け下りていく足音がし、やがてがしゃんと一階の扉が閉まり鍵のかかる音がした。
「ああ……」
今更ながら恐怖が湧き上がり、アルフォンシーヌは足が震えて立っていられなくなり、ふらふらとその場に倒れ込みそうになった。
「姫君――」
イザークが素早く抱きとめてくれた。 
引き締まった腕に縋ると、自然に涙が溢れてきた。
広い胸に顔を埋め、啜り泣く。
「イザーク……怖かった……もう少しであの男に唇を……」
「泣かないでください――もう大丈夫。私がいます――どんなことがあっても、あなたを守りますから」
イザークは優しくアルフォンシーヌの髪を撫で、そっと額に唇を押し当てた。
彼はそのまま、震える瞼や濡れた頬に口づけを繰り返す。
「ああ、イザーク……イザーク」 
アルフォンシーヌはしゃくり上げながら、顔を上げてイザークを見上げた。
知的な青い瞳は、恐ろしいほど真剣にこちらを見つめてくる。
吸い込まれそう――恐怖で脈打っていた心臓が、甘くコトコト音を立て始める。
吸い込まれたい、この青い瞳に魂ごと吸い込まれてしまいたい。
アルフォンシーヌはそう強く思い、濡れた金色の目で瞬きもせずイザークを凝視した。
二人はしばらく無言で見つめ合う。
最初に視線を外したのは、イザークだった。
「いけません――そんな目をしては」
彼は珍しく気弱そうに呟いた。
アルフォンシーヌはもう一度彼の視線を捉えようとした。
「なぜ?」
イザークがふいに顔を振り向け、低い声でささやく。
「こうしてしまいますよ」
言葉と同時に、端正な彼の顔が近づき、唇をしっとりと塞がれた。
「っ――ん」
驚きで目を見開いてしまう。
柔らかく熱い唇が、二度、三度と強く押し付けられた。
イザークがわずかに顔を離し、陶酔したようなため息を漏らす。
「なんて甘い――柔らかい」
アルフォンシーヌは、やっと自分が口づけされたのだと気がつく。
グレゴリーの時は血の気が失せるほど怖かったのに、イザークに与えられた初めての口づけは、せつないくらいの喜びに満ちていた。
「イザーク……」
アルフォンシーヌはそっと目を閉じ、顔を上げてもう一度口づけを待った。
顎にイザークの手がかかり、さらに顔を仰向かせられる。
強く唇が押し付けられ、そのまま口づけは深いものになる。
ぬるりと濡れた舌が、アルフォンシーヌの唇をなぞった。びくりと肩が震えた。
イザークの舌先が、閉じ合わさった口唇を優しく撫で回すと、自然と唇が開いてしまう。
「ふ……」
男の厚く滑った舌が、口腔に潜り込んできた。そんな口づけを予想していなかったアルフォンシーヌは、思わず腰が引けそうになる。
するとイザークの大きな手が背中に回り、ぐっと強く抱きしめてきた。もう片方の手が後頭部を抱え込み、がっちりと固定してしまう。
イザークの舌がさらに奥へ潜り込んでくる。
探るように歯列を辿り、ゆっくりと口蓋を舐め、最後に怯えて縮こまっているアルフォンシーヌの舌を捉えた。
「んっ、んん……」


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