王さま教授と
女学生プリンセス
【本体685円+税】

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●著:しみず水都
●イラスト:Ciel
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-2017-5
●発売日:2018/11/24

いい子だね。ゆっくり可愛がってあげよう

財政に悩むメイネルース王国の王女ラーラは、農作物の品種改良を学ぼうと、王妃選抜に乗じてバスティア王国を訪れる。王立図書館を物色していたところ、図書館館長兼教授である美貌の青年、ローレンスに見咎められ、キスと引き換えに勉強を教えてもらうことに。「喘ぐ君はすごく魅力的だ」毎日のレッスンを通して互いに惹かれあい、次第にエスカレートしていく行為。求められ彼に純潔を捧げ、ずっと共にいたいと悩むラーラは!?




「本日のお礼は向こうでもらおうかな」
窓際に置いてある大きな長椅子を目で示す。
「あそこで?」
「七回分のお礼をもらわなくてはならないから、ここで立ってするのはちょっとね」
片眉を上げて横目で見られた。
「七回も?」
(数えていたのね……)
確かに何度も質問したが、七回だったのかと思いながら、ラーラは席を立つ。
「本当は八回だったが、休憩の時に私の質問に答えてくれたからね」
もっと多かったのである。
「ああ、あの時」
「だから一回分は相殺で七回だよ。さあおいで」
長椅子へといざなわれる。
アーチ形の窓の下に置いてある椅子には、深緑色のビロードが張られていた。黄金の縁取りがされていて、椅子の背もたれの中央上部に宝石がはめ込まれている。
まるで王さまが座る椅子のように豪華だ。
ラーラは緊張した面持ちでそこに腰を下ろす。
「顔が強張っている」
隣に座ったローレンスが、固まったように座っているラーラの顔を覗き込む。
「だ……だって……」
「私とキスをするのは嫌?」
上目遣いで尋ねられる。
「……い、嫌では……ないですけど……」
「けど?」
「ローレンス教授は、す、好きでもない相手と、キスをしてもいいの?」
赤くなって問い返した。
「私は君のことが好きだからキスをしたいのだが?」
サラッと答えられてしまう。
「き、昨日初めて会ったばかりなのに?」
こんなに短時間で好きになるだろうかと思ったが、ラーラ自身も昨日会ったばかりのローレンスに、不思議なほど好意を抱いている。
「これまで出会った中で、キスしたいと思った女性はいない。会ったばかりでもキスしたいと思ったのは、君が初めてだ」
「ど、どうして、そう思うの?」
初めてと言われて、驚きとときめきに襲われた。
「誰かを好きになるのに、理由が必要?」
「わ、わたしを、好きなの?」
「そうだよ」
またしてもストレートに答えられてしまい、ラーラは耳の後ろまで熱くなってきたのを感じた。
「で、でもわたしは、王妃候補の研修を受けているのよ?」
自国の国王の妃になろうとしている相手に、そのような感情を持つことはいけないのではないかと、ラーラは思い至る。
「もしかして君は、国王の妃になりたいのか?」
驚いた表情でローレンスが目を見開く。そのあと嫌なことに気づいたように、眉間に皺を寄せた。
「まあ、王妃になれば、こんな面倒な勉強などせずとも、開発された種を好きなだけ手に入れることができるが……」
ローレンスがつぶやく。
「違うわ! 王妃になんてなりたくないわ! それに、そんな考えで結婚したくない」
少しムキになって答えたあと……。
「ただ……お妃候補の研修を受けているわたしを、あなたが本気で好きになってくれるとは、思えなかったのよ」
ラーラはうつむいて訴えた。
「王妃になんてなりたくないか……」
なぜか少しがっかりしたようにつぶやいている。
「だ、だってわたしは、メイネルースのために来たのだもの」
王妃になるのではなく、品種改良の技術を探りに来たことは、当初からローレンスに告げている。
「そうだったね。わかっていたのに、すまない。それにしても君は、知れば知るほど魅力が増していくね」
「そ、そうでしょうか……」
お世辞だとしても、褒められるのはうれしく思う。
「料理についてお茶の時間に君から教えを受けた時は、眩暈がするほど君の魅力にやられたよ。あれからずっと、君にキスをしたくてたまらなかった。こういう理由ではだめかな?」
揃った睫毛の下にある美しい青い瞳に見つめられる。
「だ、だめではないわ」
ラーラも、ローレンスを知れば知るほど好きになっていた。
初めは美しい容姿にときめいていたけれど、今は彼の知性や考えなど、中身にもすごく惹かれている。
「それでは、お礼をいただいていいんだね?」
「ええ。お……お約束だもの……」
ラーラがうなずくと、ローレンスがふっと華やかな笑みを浮かべた。
(この方は、いろいろな笑顔を持っていらして、どれもとても素敵だわ)
ぼうっと見つめてしまっていたラーラに、ローレンスの美麗な顔が近づいてくる。
(ああ……)
昨日のようなキスをされてしまうのだと思ってすぐに、今度は唇だと言われたことを思い出す。
(そうだったわ!)
唇にキスをされるなんて、生まれて初めてのことである。しかも相手は、誰よりも美しくて賢い青年だ。
ラーラの胸の鼓動が、ものすごく速くなってくる。
ドキドキが頭の中まで鳴り響く。
(ど、ど、ど、どうしよう)


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