俺サマ石油王に愛されて困ってます!
テキサス・ウェディング
【本体1200円+税】

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●著:御堂志生
●イラスト:氷堂れん
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-4024-1
●発売日:2020/03/30

こいつとならと思った女と添い遂げたいだけだ

従妹の結婚を祝うため上京した三条笑里は、新郎の友人であるテキサスの牧場主、ジャスティンに気に入られいきなりプロポーズされる。「こんな美味そうな肌は初めてだ。喰っちまっていいか」
陽気で優しい彼に惹かれるも、アメリカ行きの決心ができずにいると、いきなり飛行機に乗せられ!?




サッとカーテンを引くと、眼下には宝石箱をひっくり返したような夜景が広がっていた。
「すっごく綺麗」
うっとりするような声が口から洩れる。
だが、この夜景が昼間見た景色と同じかどうか、笑里には判断がつかない。
とにかく部屋の中を確認するほうが先だ。片っ端からドアを開けようと、手近なノブを掴もうとしたときだった。
笑里が掴むより早く、ドアノブはくるっと回ったのである。
開いたドアに激突しそうになり、
「おっと、悪い。起きたんだな」
「あ、いえ……きゃ」
ドアを避けながら、こちらこそすみません、と続けようとしたとき、目の前に壁が現れた。
笑里は避けることを諦め、目を瞑って衝撃に備える。だが、その壁は思ったより硬くなく、なぜか温かかった。
「大丈夫か? でも、酒に弱いなら日本酒なんか飲むなよ。あれって、けっこうアルコール度数が高いって聞いたぞ」
「そ、そうですね、ご迷惑おかけして……ごめ」
壁を押し返そうとして、ようやく、自分がジャスティンの胸に抱かれていることがわかった。
しかも、触れているのは彼の素肌――逞しい胸板に掌を押し当てている。
(は、離れなきゃ。でも、なんで、裸なの!?)
予想外の事態に笑里は半ばパニックだった。
「こらこら、暴れるなよ」
「は、離して……やだ、わたし、わたしは、こんな」
彼から離れて、バスローブの下を確認したい。ひょっとしたら、何も身につけていないのかもしれない。ということは、すでに彼と特別な関係になってしまった可能性もある。
意識がなかったというのは言い訳だ。
無理やりお酒を飲まされたわけではない。
それどころか、ジャスティンは今日一日、言葉を尽くして笑里に求婚してくれていた。そんな彼にキスを許してしまったら、その先まで許されたと思って当然だろう。
だが、笑里には心に決めていることがあって……。
(どうしよう、こんなふうに、なんて。お母さんに、なんて言おう)
笑里は彼の腕の中で、もがくように身を捩った。
その拍子に、足元に何かが落ちてきて、笑里はその何かを確かめようと下を向いてしまう。
そんな彼女の目に飛び込んできたのは――。
「きゃあーっ!!」
「ちょっと待った……ああ、クソッ」
屋形船のときと違って、荒々しく唇を押しつけられた。
笑里の記憶にある限り、これが二度目のキスだった。唇を塞がれ、息もできない。同時に、大きな手が背中に回されて、強い力で抱きしめられた。
それはほんの少し前、彼の腕の中にいたときは違う。
劣情を伴うキスに、笑里の理性は真夏の氷のように溶けてしまいそうだ。
彼の手が腰の辺りでゆっくりと動き、バスローブの紐がほどかれた。ウエストがふわっと自由になり、その一瞬で素肌にしっとりとした風が纏わりつく。
それが、彼が出てきたバスルームの温もりであることに気づいたのは、もう少しあとだった。
「ジャス……ティン」
「気分はどうだ? ひょっとしたら、酒だけじゃなくて、船酔いもあったのかもな。悪かったな、気づいてやれなくて」
彼の言葉の意味が半分もわからない。
だが、このとき、笑里の思考は彼のキスに溶かされてしまっていて、疑問を口にする余裕すら失っていた。
彼に抱き上げられ、少し前まで眠っていたベッドに逆戻りする。
知りたかったバスローブの下は、ブラジャーとショーツという、最低限の下着姿だった。
ベッドのスプリングはフワッと揺れ、笑里の体重を抵抗なく受け入れる。だが、その直後、覆いかぶさるように体重をかけたジャスティンには、ギシッと不満めいた音を出した。
常夜灯を背に、彼は笑里の顔を覗き込む。
「これでも、自制心には自信があったんだぞ。それなのに――」
濡れた髪が黒より灰褐色に見える。
笑里は衝動的に手を伸ばし、彼の髪に触れた。見た目より硬くて、少しだけゴワゴワしている。ただそれだけのことに、ときめきが鎮まらない。
抱き寄せたつもりもないのに、彼との距離が縮まった。
鎖骨の辺りに熱を感じた。直後、その熱が徐々に胸へと下がっていく。
「は……ぁ」
鼻から抜けるように声が洩れる。
それが自分の声だとは信じられないくらい、なまめかしい女の声だった。
(どう、なってるの? わたし、どうしちゃったの?)
何度となく自分に向かって問いかけるが、答えは見つからない。
にもかかわらず、笑里の身体は彼の愛撫を受け入れていた。肩紐をずらし、カップを押し下げられ、こぼれ落ちた胸の先端に彼の唇が触れた瞬間――。
「やっ……あぁ……っん」
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