愛のない契約結婚のはずですが、王子で公爵なダンナ様に何故か溺愛される毎日です!【本体1300円+税】

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●著:佐木ささめ
●イラスト: すらだまみ
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4815543204
●発売日:2023/07/28

恥じらう君も愛らしいな

第二王子で公爵のディーンに嫁いだエヴァは、初夜の床で君を愛することはないと夫から告げられる。
彼は兄との王位継承争いを避ける為、わざと平民のエヴァを娶ったのだ。
ディーンの誠実な説明に納得し、務めを果たそうと励むエヴァの姿に、ディーンは次第に特別な気持ちを彼女に抱き始める。
「君の気持ちが忠誠心であっても、私は君が愛しい」
真摯な告白に、エヴァも彼への想いを抑えられなくなり!?



「……新しい領地の立ち上げが、こんなにも大変だとは思わなかった」
「何もかも一から決めなくてはいけませんからね」
 ディーンは十二歳の頃より騎士団に入った生粋の武官なので、文官系の人脈がそれほど広くない。
 王城から送り込まれた代官と補佐官の候補たちを叩き出したのもあって、まだまだ生活は落ち着きそうにない。
 今でもこうして予定外の式典が入り、そのたびに仕事が増える。
 もうすぐ王妃の夜会もある。
――王妃様もなぁ……私が憎いのは理解できるけど、閣下の苦労を増やさないでほしかった。
 主人の美しい顔を観察すれば、少しやせたような気がする。
 気晴らしに乗馬にでも誘うべきか。
「閣下。王都に戻ったら、また遠駆けしましょう」
 いきなり話が変わって、グラスを持つ手を止めたディーンだが、すぐにニヤリと笑う。
「私へのご褒美か?」
「ふふ。私が行きたいだけです」
 エヴァも乗馬が大好きなのだ。
 新しい乗馬服で遠駆けした際、ディーンから『時間が取れたら君の馬を買いに行こう』と言われているので、すごく楽しみにしていた。
「遠駆けもいいけど、今、頑張っている褒美が欲しいかな」
「何か召し上がりますか?」
「いや、膝枕してほしい」
――ん?
 エヴァは目を瞬いてしまう。聞き間違いかと思ったが、すぐに昔の記憶を思い出した。母親がしょっちゅう父親に膝枕をしていたことを。
 どうやら夫婦の間で、膝枕をするのは当たり前らしい。
 頭の片隅で、契約結婚でも? との疑問が浮かんだけれど、ディーンが望むなら普通のことなのだろう。たぶん。
「かっ、かしこまりました! 妻の役目ですよね! 母もよくやっていましたから!」
 エヴァが目元を赤く染めて勢い込んで告げると、ディーンは苦笑にも似た笑みを浮かべ、「じゃあ、遠慮なく」と妻の膝を枕にして寝転んだ。
 太ももに感じる重みと温もりに、エヴァは心臓の鼓動がありえない速さで打ち始める。
 両親が膝枕をしていたからと安易に受け入れたものの、これは猖槓の夫婦瓩世らこそできる行為なのだと後悔した。
――ものすごく恥ずかしい……っ! 今日は仲良しアピールするために腰とか肩とか抱き寄せられたけど、それよりずっと照れる……!
 おそらく彼の整った顔が、自分の秘所の近くにあるからだろう。
 お風呂に入った後でよかったと、バクバクする心臓の音を体の中から聞きつつ彼を見下ろした。
 目を閉じて眠っているように見えるディーンは、本当に綺麗な人だと感じる。雄々しくてたくましいのに、美しいとの形容が似合う紳士。
 これほど眉目秀麗な男の人を、自分は見たことがない。
 彼と白い結婚でも正式な夫婦で、愛がなくても信頼があって、こうして触れていることが奇跡のようだった。
 ふと、何かを考える前に前髪をかき上げてみる。形のいい額がむき出しになった。
 指を離すと、髪で額が隠れてしまう。……なんとなく残念に思った。
 それで何度も前髪をかき上げていたら、目を閉じたままディーンが小さく笑いだす。
「君のご両親もこうしていたのか?」
「あっ、すみません、触って……」
 慌てて指を引っ込める。自分は急に何を始めたのか。
「いや、君に触れられると心地いいから続けてくれ」
「はい……」
 ドキドキしながら前髪を梳る。指の間を流れていくサラサラの髪が、自分にとっても心地いいと感じた。
「君のご両親は、仲睦まじかったんだな」
「そうですね。子どもの私から見ても、仲がいい夫婦だと思いました。……駆け落ちしたぐらいですから」
「私は覚えていないが、君の父君……レイフが出奔した当時は大変な騒ぎだったらしい」
「なんか、申し訳ありません……」
「いや、陛下は駆け落ちを認めていたそうだぞ」
「えっ!?」
 驚きすぎて体を揺らしてしまい、ディーンが瞼を持ち上げた。赤紫の美しい瞳が、いたずらっぽい光を浮かべている。
「陛下が王太子の頃、レイフが近衛騎士を務めていたのは知っている?」
 頷いたエヴァにディーンは語る。
 国王――当時のアルバート第一王子は側妃の子どもで、義母である王妃に命を狙われていた。
 毒殺や視察先での暗殺が繰り返される危うい状況だったが、それを守り抜いたのがレイフ・オーウェルだ。
「あ……陛下と先代陛下の時代については歴史の授業で習いました。隣国からお命を狙われていたのですよね」
「そう。うちは広い穀倉地帯と資源が豊富な山地を持つ国だからね。隣国とはもう何十年と衝突してる」
 先代の国王は隣国との何度目かの戦争後、和平のためにと隣国の王女と婚姻した。
 しかし王女が王妃になってから、徐々に隣国が政治に干渉し始めて国が乱れた。
 そのため当時の王は王妃との間に子を儲けず、側妃に迎えた自国の貴族令嬢がアルバート王子を産んでいる。
 彼が王太子になると、王妃と隣国の間者から命を狙われ続けた。
「陛下が三十歳のとき、やっと王妃を幽閉して隣国の干渉を退け、即位されたんだ。このとき陛下の身を守り抜いたレイフに褒賞を与えようとしたらしい」
 するとレイフは、『身分の低い恋人と結婚したいから除隊させてください』と願い出たという。
 エヴァは目を剥いてしまった。
「えぇ……陛下から賜る褒美にそんなことを望むなんて……!」
「それだけ信頼関係があったんだろうな。だから陛下も除隊を許して駆け落ちも止めなかった。優秀な近衛を失うことになるのに」
 クスクスと笑うディーンは、自分の前髪に触れる妻の手に己の手を重ねた。
「閣下?」
「で、今度は私だ。陛下から国境紛争の褒美に何がいいかと聞かれたとき、『身分の低い女性と結婚したいから許可をください』って願ったんだ。陛下は似たような望みを言われたことを思い出し、しかも私が望んだ女性が、その似たようなことを言ったレイフの娘だと知って腰を抜かしたそうだよ」
「……それは、すごい偶然ですね」
「そう? 王家とオーウェル侯爵家は建国から続く主従関係だ。こうして君が私のそばにいるのも運命だと思っている」
 ディーンが重ねた妻の手を握り込み、そっと指先に口づけた。たかだか皮膚と皮膚の接触なのに、唇が触れた箇所がじんわりと熱い。
「あ、あの、閣下……」
「君の両親は、膝枕以外に何をしていた?」
「え、あ、その……」
 なぜここでキスをするのだろうと、混乱しすぎて頭がうまく働かない。それに見上げてくる眼差しが初めて見る種類のものだから、胸が高鳴ってソワソワして体が熱い。
 うろたえながら、しどろもどろに声をひねり出した。
「えっと、確か、父が母を膝の上に乗せたり、食事を食べさせたり、寝るときは母をお姫様抱っこして、寝所へ連れていったり……」
 いきなりディーンが起き上がった。
 勢いがありすぎてエヴァは仰け反ってしまう。
「それはいい習慣だ」
「え?」
 仰け反ったままキョトンとしていたら、ディーンが横抱きで持ち上げてくる。
「閣下!?」
「これからは私が君を寝所へ連れていく」
 スタスタと寝台へ向かい、エヴァをおろすとガウンを脱がしてくる。
 心臓が口から飛び出そうな気分でエヴァが固まっていると、同じようにガウンを脱いだディーンに抱き締められた。
 この急展開に心がついていけないエヴァは、彼と共に寝転がり、額に柔らかい感触が落ちてきても動けない。
「おやすみ。よい夢を」
 ……どうやらこの状態で眠るらしい。
 硬直するエヴァは、密着したたくましい体の感触と、人肌の温もりと、額に感じる穏やかな吐息に思考が完全停止する。
 数秒後、眠るのではなく意識が途切れて気絶した。

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2023/4/28
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『結婚した地味系青年と甘い初夜を迎えたら、何故か朝には美貌の公爵様にチェンジしてました!!』千石かのん・ill/旭炬
『転生悪役令嬢は、氷の侯爵を決死の覚悟で誘惑する バッドエンド回避で溺愛ルート突入です!』茜たま・ill/鈴ノ助

2023/3/30に発行致しました、ガブリエラブックスの各電子書籍ストアでの販売が2023/4/28頃より順次スタート致します。
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2023/3/30
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『悪役令嬢の娘なので、王子様はお断りいたします! イケメン王子は溺愛する令嬢との結婚に手段を選ばない』逢矢沙希・ill/KRN
『転生した男爵令嬢は、国王陛下の28人目の婚約者に選ばれました 陛下、今度の人生は溺愛されたいです』火崎勇・ill/なおやみか

2023/2/28に発行致しました、ガブリエラブックスの各電子書籍ストアでの販売が2023/3/30頃より順次スタート致します。
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2023/2/28
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『伯爵家のお荷物令嬢なので身を引いたのに、パーフェクトな義弟の執愛から逃げられません! 時戻りはワンナイト前のはずでした』竹輪 ・ill/氷堂れん
『伯爵令嬢は魔法を操るイケメン公爵に娶られ溺愛されてます 私の針仕事が旦那様のお命を救うんですか!?』北山すずな・ill/すがはらりゅう

2023/1/30に発行致しました、ガブリエラブックスの各電子書籍ストアでの販売が2023/2/28頃より順次スタート致します。
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12月刊電子書籍【ガブリエラ文庫プラス】
1/『めちゃモテ御曹司はツンデレ万能秘書が可愛くってたまらない』小出みき・イラスト/小禄
2/『コワモテ不動産王の不埒な蜜愛』玉紀 直・イラスト/なま

2020/12/25に発行しました、現代物TLレーベル・ガブリエラ文庫プラス2作品の各電子書籍ストアでの販売が2021/1/25頃より順次スタートいたします。
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