●著:まつりか
●イラスト: 森原八鹿
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:9784815543327
●紙書籍発売日:2024/1/30
●電子版発売日:2024/2/29
生涯の愛を誓おう
伯爵令嬢クローディアは、自分が悪役令嬢に転生していると気付くも、既に婚約者の第三王子から断罪され、嫌われ公爵ルーヴェルに嫁ぐ罰を受けていた。
望まぬ結婚だが彼は超絶的に美しく、その皮肉気な言葉も前世の記憶からただの�爛張鵐妊讚瓩畔�かってしまう。
「私の妻として、側にいてくれ」
甘く彼に溺愛され幸せな日々を過ごすが、ある日、自分を断罪した王宮から舞踏会の招待状が届いて!?

破廉恥すぎず、わかりやすく覚悟を証明できそうな奉仕とは――。
前世の知識を総動員しながらアイディアを絞り出していれば、不意に向かいから大きな溜め息が聞こえてきた。
視線を向ければ、ベッドに座った彼がこちらの様子を窺うように、その薄紫色の双眸を細める。
「……もし本気で証明したいというのならば、貴様が上となり私を受け入れるがいい」
突然の提案に目を瞬かせれば、そんな私の様子を見て、彼はその目を伏せるようにして冷笑を漏らした。
「尤も、できるなら、の話だがな」
その言葉に、彼が私の覚悟を信じていないことを確信する。
私の『婚姻を嫌がっていない』という言葉を信じられないせいで、夫婦となることを躊躇してしまっているのだろう。
――これは証明するしかないわね。
覚悟を決めて、拳を握る。
彼の求める行為は、恐らく騎乗位だ。
横たわる男性の上に女性が乗り、男性のソレを女性が受け入れる体位。
男性経験のない自分にとっては未知の行為だが、小説や漫画などで何度か見たことはある。
私が彼の上に乗って、己の秘所に相手のモノを受け入れるだけ。
――できそう……いや、できる。やるしかない!
騎乗位を初夜で示すだけで、彼の信頼を得られるのならば安いものだ。
覚悟を決めると、彼に向かって大きく頷いた。
「……やります」
「はは、そうだろうな、無理に決まっている。好きでもない男相手に身体を許すなんて――……おい、今なんと――」
「やらせていただきます!」
力強く宣言した私の言葉に、公爵様はその目を大きく見開いた。
驚きに固まっている彼の側に寄り、腕を伸ばしてベッドのほうを示す。
「どうぞ、上がってください」
「は……いや、本気か?」
「もちろん本気です。女に二言はございませんから」
どんと胸元を叩いた私に戸惑いつつも、言われるがままにベッドに上がった彼は、しずしずとその身体を横たえた。
彼の動きに合わせてベッドが揺れれば、洗い立てのシーツからリネンの香りが広がる。
呆然とした様子の彼を見下ろしながらベッドに上がった私は、失礼しますと声をかけると彼の身体を跨ぎ、下腹部あたりに腰を下ろした。
薄い布の透け透けナイトドレス越しに、相手の体温が伝わってくる。
「……やめるなら今だぞ。別に無理する必要は――」
「大丈夫です。できます。多分」
焦るような上ずった声をあげた彼を見下ろしながら、私は深く頷いた。
彼の上に乗って形だけはそれらしくなったものの、ここから先は未知の領域だ。
――行為を始めるには、まずは服を脱がすべきかしら。
小説なら『愛撫』の一言で示される行動の詳細が、実際になるとどう行動すべきかわからない。
漫画も小説も、大体想いが通じ合ってのベッドシーンだったから大抵キスから始まっていた気がする。
そんなことを考えながら彼のほうに視線を向ければ、ぱちりと目が合った。
目が合ったことに驚きながらも、戸惑いがちにこちらを見上げている彼は、なにかを言いたげに見える。
もしかして、ぎこちない私の行動を見て、やはり初心者に騎乗位を任せるのは不安に感じているのだろうか。
「……あの、やめておいたほうがよろしいですか?」
確認を口にすれば、彼は明らかにほっとしたような表情を浮かべた。
「で、できないのならば初めからそう言えばいい。義務のために貴様が身体を傷つける必要もないし、無理だというならば――」
「いえ、無理でありません」
「なに?」
こちらを見上げる彼は、私の言葉に目を瞬く。
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