隣で一緒にモブしてた友人が、実は続編のヒーローで王子様とか初耳なんですが!?【本体1300円+税】

amazonで購入

●著:月神サキ
●イラスト: なおやみか
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4815543440
●発売日:2024/7/30

二度と友人に戻るつもりはない


乙女ゲームのモブに転生したレイチェルは元々壁になってキャラ達を観察したいタイプだったため第二の生を満喫していた。
だがゲーム主人公と悪役令嬢のやりとりを嬉々として見守る彼女にモブ仲間のはずの友人、ラインハルトがいきなり告白してくる。
「そろそろお前を口説いても構わないか?」
モブらしからぬ展開に動揺していたところ転生者の悪役令嬢に貴方達は続編ゲームの主人公だと教えられ!?




「ラインハルト……でも、私」
「なんと言われようが絶対に逃がさない。お前以外は要らない。私以外を選ぶなんて許さない。――お前は私のものだ」
「っ……!」
ラインハルトの顔が近づく。
あ、と思った時にはもう、唇に熱を押しつけられていた。
少しかさついた唇の感触。
至近距離にある整ったラインハルトの顔。
背中に回った手は、今もなお私を抱きしめて離さない。
ゆるゆると遅れて衝撃がやってくる。
今、キスされているのだとようやく脳が理解し、同時にパニックになった。
――ど、どうして? どうして私、キスされてるの!?
動揺しすぎて、逆に動けない。
結果としてラインハルトのキスを最後まできちんと受け止めることになってしまった。
「ん……」
名残惜しげに唇が離れて行く。
ラインハルトと目が合った。
 驚愕している私を、彼は愛おしげに見つめてくる。
ラインハルトは私の頬に手を当てると、想いの籠もった声で名前を呼んだ。
「レイチェル……」
「ラインハルト……私……」
「好きだ。私の想いを受け入れてくれ」
「私は……んんっ……」
もう一度、顔が近づいてきた。
避ける間もなく、再度唇が塞がれる。
触れ合わせるだけの口付けではない。ラインハルトは何度も唇を啄んだ。
「ん……ちょっと……」
下唇を柔らかく食まれ、変な声が出る。
嫌とかそういうのはないのだが、妙な気持ちになりそうで怖かった。
ラインハルトの胸を押し、これ以上は駄目だという意思を示そうとする。
だが、彼は退くどころか、今度は舌を口内に捻じ込ませてきた。
「んんっ……!?」
驚きに目を見張る。
侵入した舌は好き放題、口内を暴れ回った。頬の内側を擦り、歯列をなぞり、奥で震えている私の舌に絡み付く。
「んっ……は……あ……」
混乱しているうちに、いつの間にか大きく口を開かされていた。舌は生き物のように口の中を動き回る。
どんどん頭の中がぼーっとしてきた。
彼の舌が溜まった唾液を掻き回している。ピチャピチャいう音が聞こえていたが、気にする余裕などあるはずもなかった。
「は、あ……あ……」
「レイチェル……」
甘く舌を吸われ、痺れのような快感が背中を駆け抜けて行った。
どうしてこんなことになっているのか、分からない。
脳が考えることを拒否している。
――え?
頬に触れていたラインハルトの手が、気づけば胸に触れていた。
ドレスの上からではあるが、確実に触っている……というか揉んでいる。
ラインハルトの大きな手が膨らみを覆う。触れ方は優しく嫌悪などはなかったが、さすがにこれはやりすぎではないだろうか。
――ちょ、これは駄目……んんっ。
乳首のある場所に触れられ、ビクンと身体が跳ねた。
コルセットを着けているし、ドレスの上からだというのにどうして正確な位置が分かるのか。
「あっ、んんっ、ん」
「触られて感じているのか、可愛いな」
「ひゃっ……」
また濃厚なキスが始まった。巧みな舌の動きに翻弄される。
調子に乗ったラインハルトが今度はスカートをたくし上げ始めた。
素足に彼の手が触れる。
「んっ……!」
太股を撫で上げられ、何故かお腹の奥が熱くなった。手は無遠慮に内股に触れる。その手が更に上がっていった。
どこを目指しているのか、それに気づいた瞬間、私は彼の身体を思いきり押していた。
「だめっ……!」
私の抵抗が予想外だったのか、彼の身体が離れる。
私は荒くなった呼吸を整え、唾液でベトベトになった唇を手の甲で拭った。
――恥ずかしい。
私は今、何をしていたのか。
恋人ではない男と淫らなキスを何度も交わし、あまつさえ胸まで触られてしまった。
碌に抵抗もせず、為すがままだった。
今、抵抗しなければきっとそのあとに続いたであろう行為も、漫然と受け入れていただろう。
それを許していた自分が信じられなかった。
「レイチェル」
ラインハルトが私の名を呼ぶ。
だが私は返事をせず、その場から逃げ出した。
なんと言って良いのか分からなかったからだ。
強引に事を進めてきた彼を責めたい気持ちはもちろんあったが、ラインハルトだけが悪いわけではないことは分かっていた。
行為を受け入れた私も悪い。
嫌なら嫌だと、断固拒否しなければならなかったのに――。
――嫌じゃなかったのが、一番の問題だわ。
早足で夜会の会場を通り抜けながら、思う。
そう、嫌ではなかった。
彼とのキスは心地良かった。そして心のどこかに「もっと」という欲望があった。
だから驚きはしても彼の行為を受け入れたのだ。
恋人でもない相手と淫らな行為に耽ってしまった。
舌を絡めるキスをし、唾液を呑み込み、性的な場所に触れることを許してしまった。
何が恋愛したくない、だ。
偉そうなことを言っていたくせに、結局こうなのだから嫌になる。
恋愛したくない女が、自分に好意を寄せている男に触れられて、喜ぶなんてあってはならないのに。
「レイチェル!」
背後から私を呼び止める声が聞こえる。どこか焦りを含んだ声。
気にはなったが、今だけは振り返っては駄目だと思った。
だから私はそれを無視し、夜会会場を後にした。

☆この続きは製品版でお楽しみください☆



amazonで購入

comicoコミカライズ
ガブリエラ文庫アルファ
ガブリエラブックス4周年
ガブリエラ文庫プラス4周年
【ガブリエラ文庫】読者アンケート
書店様へ
シャルルコミックスLink
スカイハイ文庫Link
ラブキッシュLink