授かりました! さようなら! 転生令嬢の逃走子育て【本体1300円+税】

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●著:七福さゆり
●イラスト: 霧夢ラテ
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4815543426
●発売日:2024/6/28

私が……妊娠? 嘘でしょう?


若くして病没し、読みかけの恋愛小説のヒロインに転生したことに気付いたマルグリットは推しの第一王子ラウルと結ばれたいと願うも、病気がちな身体では夢のまた夢。しかし、せめて思い出だけでもと参加した仮面舞踏会でラウルに見初められ愛される。
「今夜キミに会えるなんて思わなかった」。
甘い一夜の記憶を胸に田舎での療養生活を始める彼女だが、お腹には2人の愛の証が宿っていて――!?




「……っ……ず、ずっと、お慕いしていました……こ、今夜……私に、す、素敵な思い出をくださいませんか?」
ああ、噛み噛みだわ。練習しておけばよかった。
「えっ」
ラウル王子は驚いている様子だ。
自分から誘うなんて、はしたない女だと幻滅する?
お願い……幻滅しないで! この誘いに乗って どうかこの手を離さないで……!
祈るような気持ちで、握った手にギュッと力をこめる。
「とても嬉しいよ。えっと、思い出がほしい……というのは、どういう意味で?」
「え?」
「お話をして思い出を作るという意味? それとも、こういう意味?」
ラウル王子は私の顎を持ち上げると、綺麗な顔を近付けてきた。
心臓が破裂しちゃう……!
「こ、こ、こ、こういう……意味です」
直視できず目を瞑ると、唇を重ねられた。
「んっ」
初めてのキスは、柔らかくて、温かくて、夢みたいな感触だった。
ラウル王子は私の唇をちゅ、ちゅ、と吸い上げてくる。
「んん……っ」
キスって、なんて気持ちいいの……。
握っている手に、さらに力が入った。ラウル王子は私の手をギュッギュッと握り返しながら、唇を吸ってくる。
生まれて初めてのキスに夢中になっていると、ラウル王子の長い舌が私の唇の間を割って侵入してきた。
「ん……っ」
し、舌が……!
長い舌が別の生き物みたいに動いて、咥内を刺激してくる。
「んんっ……ん……ふ……んぅ……っ」
嘘……す、すごい……ラウル王子の舌が口の中で動いて……あっ……あっ……どうしよう。ものすごく気持ちいいわ。
唇を吸われていた時以上の快感がやってきて、とろけそうになる。刺激を与えられているのは口の中なのに、お腹の奥がすごく熱い。
座っていられなくなりそうになったその時、ラウル王子が唇を離した。
嘘……キスで終わり? もう、これ以上はしてもらえないの?
「ラウル……王子……」
この先に進んでほしいとお願いしたくても、舌がとろけて上手く話せない。
「俺の部屋に、連れて行ってもいい?」
耳元で囁くように尋ねられ、私はすぐに頷いた。
あ……でも、今私動けるかしら。
私が動くよりも早く、ラウルが私を抱き上げた。
「じゃあ、行こうか」
「えっ! ラ、ラウル王子……っ!?」
「ん? どうかした?」
「わ、私、自分で歩きますから……」
「嫌だ。離したくない」
「え、ええ……っ」
ラウル王子の腕はとても逞しくて、私を抱き上げてもビクともしない。
ああ、格好よすぎる……!
「お、重くないですか?」
「ちっとも。このままずっと抱いていたいぐらいだ」
庭からラウル王子の部屋まではかなりの距離があって、階段を三階分登ったにも関わらず、彼は少しも疲れた様子を見せずに私を運んでくれた。
なんて逞しいの……格好いい……。
三階の突き当たり、重厚な扉の向こうがラウル王子の部屋だった。
幼い頃に何度か会っていたけれど、部屋に入るのは初めてのことだ。彼の部屋は落ち着いた色合いでまとめられ、テーブルの上にはたくさんの本が山積みになって置いてあり、ベッドの隣にも本がある。
読書家なのね。どんなジャンルの本を読んでいるのかしら。
部屋の中はとてもいい香りがする。ラウル王子が使っている香水の匂いかしら?
ここで寝起きし、身支度を整えている彼の姿を想像したら、特別な空間に入り込んでいるのだと自覚し、さらにドキドキしてきた。
ラウル王子は私をベッドに下ろすと、再び唇を重ねてきた。
「ん……んん……」
こうしていると、頭がぼんやりしてきてしまう。身元がわかるようなことを口走らないように、気を付けなくちゃ……。
「キミのことは、なんて呼べばいい?」
「え……」
「名前が呼べないと、不便だろう?」
本名を名乗るわけにはいかないし……あ、そうだわ。
「里菜、とお呼びください」
「リナ? わかったよ」
里菜、それは前世の私の名前だった。
偽名を呼ばれてするよりも、前世のとはいえ、本名を呼ばれて結ばれる方がロマンチックだわ。
今さらだけど、自分から誘うなんて、性に奔放だと思われてしまっているかしら……!?
「あ、あの、誤解しないでください。私、こういうことをするのは、初めてですから……!」
思わず身を乗り出して否定すると、ラウル王子が目を丸くした。
「誤解って何のこと?」
「あの、私は普段からこういうことをしているわけではなく、は、初めてです……っ! 男性経験はありません……っ……ですから、誤解しないでいただけたらと……」
でも、性に奔放……って思われた方が、相手にしてもらえる? 処女相手だと、面倒だと思われるかしら。嘘を吐いた方がいい? ううん、始めたら絶対にわかっちゃうわ。
「うん、大丈夫だよ。わかっているから、安心して」
あ、嘘を吐かなくてよかったわ……でも、どうしてわかるのかしら。
ラウル王子は口元を綻ばせると、首筋を唇でなぞって来た。ちゅっと吸われるたび、くすぐったくて身体がビクビク動いてしまう。
くすぐったいのは苦手だけど、これはとてもいい。もっとしてほしい。
「ぁっ……んんっ……」
「いい匂いがするね。大好きな香りだ……」
「そ、そうですか? 私は……ラウル王子の香りの方が、ずっといい香りだと思います……んっ……」
「キミ好みの香りだった? 嬉しいな」
ラウル王子は自身の手袋の先端を噛むと、そのまま引っ張って脱ぐ。その仕草がとても色っぽくて、思わず声を上げそうになった。
「ん? どうかした?」
「な、なんでもないです……どうか、お気になさらずに……」
彼は反対側も同じように手袋を外し、ジャケットを脱いで、クラヴァットを解いた。シャツのボタンが開かれると、逞しい胸板が見える。
す、すごい胸板……あ、腹筋も割れているわ。鍛えているのね。
目が離せずにいると、私の視線に気づいたラウル王子と目が合い、にっこり微笑まれた。
「ご、ごめんなさい。私ったら、ジロジロ見てしまって……」
「いいんだよ。俺だって見せてもらうんだから」
長い指が私のドレスのリボンを掴んだ。
「あ……っ」
ドレスのリボンを解かれ、コルセットを露わにされた。後ろの紐を解かれると、胸とコルセットの間に隙間が空く。
「プレゼントのラッピングを解いているみたいにワクワクするよ」
「わ、私はドキドキします……」

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