悪役好きの転生令嬢はラスボス皇太子との溺愛エンドを目指します【本体1300円+税】

amazonで購入

●著:逢矢沙希
●イラスト: 敷城こなつ
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4815543419
●発売日:2024/5/30

お前との婚約を解消することはない。諦めろ


公爵令嬢オクタヴィアは前世の記憶を思い出し自分が小説のキャラであり、最推しの悪役皇帝シグベルドと結婚した後に殺される皇妃だと気付く。
推しは愛しいが死ぬのは嫌だと婚約破棄を画策していたが、彼の窮地を救った事で今まで無関心だったのに興味を持たれてしまう。
「お前は俺のものであることを忘れるな」
彼に詰め寄られ、甘く情熱的に抱かれてますます彼から逃げられなくなってしまい!?




「や、やり直しを……させてください。あなたに信じてもらえるように、頑張りますから……」
本で読むようにそこに書いてあることだけが全てなのではない。
こちらが何か言えば、その言葉に見合った反応を返してくる、当たり前の人間。
私だって物語の中に転生したけれど、私は何かシナリオに沿って生きているわけではない。自分で考えて、自分の意思で行動している。
今、ここで生きる私たちは、作られたキャラクターではない。
それなら、これまでと違う関係を作ることだってできるかもしれない。
そしてお互いに破滅へと進む道を変えることだってできるかもしれないわ。
「俺は、愛だとか恋だとか、そういった目に見えないものを無条件で信じることはできない」
「…………そうですよね」
虫の良いことを言っている自覚はあったので、その返答には驚かなかった。
でも傷つかないでいられるわけはなく、できるだけ平静を装ったつもりだけれど、どうしても声が震えてしまう。
やだな、ここで泣きたくない。
熱くなる目から零れそうになるものをぎゅっと力を込めて耐えようとしたときだ。
「だがお前が言っていることが嘘のようにも思えない。……まったく、本当に意外なことだが」
「……えっ」
「オクタヴィア。その言葉が偽りであった場合、どうなるかは判っているな? 一度信じた人間に裏切られることを寛容に許してやれるほど俺はできた人間ではない」
彼の瞳が、まるで希うように私を見つめているように感じたのは気のせいだろうか。
最近も、彼は信頼している人に裏切られたばかりだ。
……そうよね、信じている人に裏切られるのは辛いよね。
誰だって嫌に決まっている。苦しいし、悲しい。なのにそんな当たり前の感情さえ、シグベルドは表に出すことができない人なんだと思うと、せっかく堪えた涙が溢れてしまいそうになる。
「信じろと言うのなら、まずはその覚悟を見せろ。貴族の娘としてもっとも価値のあるものを今ここで俺に差し出すなら、その言葉を信じてやろう」
言っていることは手厳しいのに、盛り上がった涙を散らそうと何度も瞬きを繰り返す私を、そっと抱き寄せる彼の両腕はとても優しい。
その両手が、先ほど押さえつけられたときとは違う力加減で私の肩から腕を撫で下ろした。
大きくて、温かいその手の感触はドレスの生地越しにも伝わってくる。
触れられることを、私は抗わなかった。
選んだのだ、もう逃げない……自分の意思で、この舞台に残ると。
そして彼に信じてもらえるのなら、抱かれても構わないと。
先ほどからバクバクと激しく脈打つ心臓が飛び出してしまいそうで、両手で口を押さえるけれど、その手の片方を解かれて握られ、そして指先に口付ける優しい接触に、胸の奥で甘く疼く何かがあった。
……恥ずかしい。ものすごく、恥ずかしい。
「もう少し力を抜け」
「……そう言われましても……な、なにぶん不慣れなもので……どうしたらいいのか」
両手で自分の身体を抱きしめるように交差しながら、寝台の上で胎児のように身を丸くすると、シグベルドは変わらず私の強ばる肩を宥めるように擦りながら、私をうつ伏せにする。
ビッ、と背中から生地が裂かれる音が聞こえたのはその直後だ。
「えっ」
何事かと身を捩ろうとしたけれど、生地を裂く音はそのまま続き、それに比例して私の身を包むドレスが剥かれていく。
も、もしかして、ドレスの合わせ目が見つからなくてナイフで裂いた!?
確かにシグベルドが女性のドレスを脱がせるのに手間取るなんてイメージじゃないけど、まさか刃物で裂くとは思わなかった。
しかも裂かれたのはドレスの生地だけではなく、その下のコルセットの紐や肌着もブツブツと断ち切られてしまう。
さすが未来のラスボス、やることが、荒っぽいな!?
でもそれを抗議する間もなく私は息を詰める羽目になった。
というのも、邪魔なドレスとコルセットを剥ぎ取ることに成功したシグベルドは、衣装が緩んだ私の背後から胸に手を回し、そのまま両手で直に包み込んできたからだ。
「あっ!」
ぐにゅり、と彼の手の中で柔らかな胸が形を変えた。
触れるその手の平が熱く、そして少し硬い。
ざらざらとした皮膚で繊細な肌を擦られて、その摩擦から生まれる刺激と揉み拉かれる刺激の両方に、私の呼吸が容易く乱される。
……シグベルドの大きな手が、温かくて気持ち良い。
うつ伏せの格好で肘を立てることで、釣り鐘型となって少しボリュームを増した胸が良いようにこね回されるのも、何とも言えない心地よさがある。
「ん、んっ……んぅ……」
すぐに私の息は乱れ、喉の奥から小さな甘みを帯びた声が漏れ始めた。
体温がどんどん上がる。
汗ばむ肌から残るドレスの生地を引き下ろしながら、シグベルドは露わになった私の背に幾度も口付けを落とし、その肌の味を確かめるように舌を這わせる。
それだけで声が上ずりそうになる。チリチリと項から脳へと駆け上がっていくような小さな火花が幾つも散るようなじっとしていられない刺激に身もだえしてしまう。
触られることがこんなに気持ち良いなんて思わなかった。
もちろん誰でも良いわけではない。
シグベルドに触れられているからこそ、私の身体はその触れ合いを快感だと認識して、身体の芯の官能に火を付けるのだと思う。
「あぁっ!」
ひときわ高い声が上がったのは、彼の指が両方の乳房の先をぎゅっとひねり上げてきたからだ。
外気に晒され、胸を揉む刺激を与えられるうちにふっくらと尖り始めたその場所は、指で軽く扱かれるだけで針を刺すような鋭い刺激を与えてくる。
あっという間に充血し、自分でも見たことのないくらいに膨らんだそこを、飽きもせずシグベルドはつねり、引っ張り、そして指先で押しつぶすように転がした。
「こちらを向け、オクタヴィア」
言われるがままに上体をひねるように振り返れば、喘ぐ唇を塞がれた。
中途半端に開いたその隙間から強引に割り込んだシグベルドに舌を舐られ、そのキスに応じようと片腕を彼の肩に回すと、伏せていた身体が簡単にひっくり返されて仰向けになる。
上手なキスの仕方なんて知らない私はつい息を詰めてしまうけれど、時々シグベルドが呼吸のタイミングを取ってくれるのでなんとか窒息せずに済んでいる。
だけどそのたびに、何度も触れては離れ、角度を変えてまた繰り返されるキスの連続に、頭の中は沸騰寸前だ。
「ん、ふ、ぁ……」
恥ずかしい声なんて出したくないのに、粘膜同士を直接擦り合わせ、肌や敏感な場所に触れられると、どうしても子猫が甘えるみたいな声が鼻から抜けるように漏れてしまう。
恥ずかしくて止めてほしいのに、それ以上にもっと続けてほしい気がして、私ができたことは潤んだ目で彼に縋ることくらいだ。
抱擁を厭わない私の反応に、シグベルドがどう思ったのかは判らない。
でも同じように抱き返してくれると、妙にホッとした。
その気持ちのままに改めて私はぎゅうっと彼に抱きついた。裸に剥かれた胸が、まだ衣服を身につけたままの彼の胸に潰されて形を変える。
そんな私に、彼の方から再び唇を塞がれる。
優しく、そして淫らで官能的なキスだった。
そのキスは唇から頬、首筋へと移動して肌に鬱血の花を咲かせていく。
私の脆い肌は彼に少し強く吸い上げられるだけで、いとも簡単に痕を浮き上がらせてしまうのだから困りものだ。こんなにはっきり残されたら、隠すのが難しい。
まだ正式な婚姻前でこんなこと、決して褒められたことではないのに。


☆この続きは製品版でお楽しみください☆



amazonで購入

comicoコミカライズ
ガブリエラ文庫アルファ
ガブリエラブックス4周年
ガブリエラ文庫プラス4周年
【ガブリエラ文庫】読者アンケート
書店様へ
シャルルコミックスLink
スカイハイ文庫Link
ラブキッシュLink