転生したら、攻略対象外の魔王の溺愛がレベチすぎるんですけど!
【本体1200円+税】

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●著:麻生ミカリ
●イラスト:アオイ冬子
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:978-4-8155-4038-8
●発売日:2021/5/28

拒絶はさせない。おまえは、俺が娶る

事故で死んだ綾羽は大好きなゲームの世界に主人公アヤハとして転生。全ルートをクリアした後、トゥルーエンドルートに入ったはずなのに、このゲームでは攻略対象外である魔王に攫われ求婚されてしまう「思っていたよりずっと淫らなおまえの体を、もっと愉しみたい」実は一番好みのタイプのイケメン魔王フランシスに溺愛、執着され想定外の淫らなルートに進んでしまい!?




 ふかふかとした上掛けの上に下ろされて、アヤハはベッドに腰掛ける格好になった。
「ちょ、ちょっと、本気……?」
 フランシスは手早くマントを脱ぐと、わりと几帳面にたたんでそばに置かれた椅子の上に置く。まじめか。
「えーと、フランシス、さん?」
 敬称に悩む疑問形の語尾に、フランシスがふっと息を吐くように笑った。
「フランシスでいい。おかしな愛称はごめんだがな」
 マントの上に手袋をきれいに並べ、彼は「さて」とアヤハの肩に手をのせる。
「我が運命の花嫁よ。本来ならば、おまえの王子や騎士たちが魔王を倒しにやってくる。だが、俺がそれを待つ必要はないよな?」
 極上の笑みで尋ねられると、意味も考えずに頷いてしまいたくなったが、そこはアヤハも譲れない。
 待ち望んだトゥルーエンドに突入したとたん、魔王の花嫁になったら確実にバッドエンドだと思われる。
「うーん、そこはおとなしく倒されたほうがいいと思うなー。ゲーム的に? 必要悪っていうか?」
「討伐されたら、おまえに復讐できないだろ」
 その復讐を遠慮したいのだと言うよりも早く、フランシスがアヤハの肩をトンと押した。
「ひゃっ!?」
 軽く押されただけなのに、体が一瞬でベッドに仰向けになる。人生初の天蓋つきベッド――なんて、堪能している場合ではなかった。
「ちょっと、何す――……むぎゅっ!?」
 白い天蓋布を覆い隠すように黒いマントが宙に広がり、フランシスがアヤハにのしかかってくる。
 完全に押し倒された格好だ。
「何をするか、わかってるくせに言わせたいのか?」
「いやいやいや、そういうことじゃなくて!」
 両腕で彼の体を押しのけようとするも、思ったよりずっと筋肉質な胸板は、アヤハごときの力では押しても押しても揺るがない。
 ――やばい。これは……確実にヤられる……っ!
「かっ……神様がレイプ犯とか笑えないよ?」
 全力でフランシスから逃れようともがきながら、一応の説得を試みる。
 しかし、彼は優雅な笑い声をあげてアヤハの体を抱きすくめた。
「すでにこの身は魔王と堕ちた」
 なるほど、たしかに魔王ならば純潔の乙女を犯すのは日常茶飯事なのかもしれない。
 とはいえ、そんな理由で抱かれるなんて承服しかねる。しかも自称童貞魔王だ。どんな妄想を抱いているのか危険すぎる。
「魔王だからって、犯罪者になる必要はないと思――……」
「いいから、黙れ」
 文句を言う唇が、強引にふさがれる。
 一瞬、何が起こったのか理解が追いつかなかった。
 ――え、これって、まさか。
「……っ……ん……!!」
 重なったのは、互いの唇だ。
 アヤハにとっては、ファーストキスだというのに。
 ――嘘! 童貞だって言っておいて、手が早すぎるっ!
 慣れないキスに、思わず身をよじる。しっとりとやわらかな唇が、アヤハの下唇を食んだ。
「ゃ……っ、ぁ……」
 ただそれだけだというのに、体の奥に甘い疼きがわきあがる。キスとは、こんなに衝撃的なものだったのか。
 ――やば、なんか、気持ちいい……
 恋人でないどころか、好きな男でもないフランシスにキスされて、息が乱れるのを止められない。
「もっと、口開けろよ」
「だ、れが……っ」
「おまえが、だ。わかるだろ、アヤハ」
 彼もまた興奮しているのが、声から伝わってくる。
 熱を帯び、情欲でかすれた声が鼓膜を震わせるたび、アヤハの心臓がどくどくと大きな音を立てた。
 キスは、好きな相手とするもの。
 子どものころから、マンガでもドラマでもアニメでも、繰り返しそう教えられてきた。
 それが、ろくに知らない魔王に奪われてしまうだなんて、恋愛ゲームとしてどうなのだろう。
 ――キスからはじまる恋愛ってこと? いや、でも魔王は討伐される対象でしょ? 攻略対象だなんてメリハピの設定で見たことないし!
「ほら、いい子だから口を開けろ」
「ん、んぅ……っ!?」
 抵抗しなければと思うのに、彼の言いなりに口を開けてしまう。あらがえない、甘いキス。口の中を貪るように熱い舌が口腔に入り込んできた。
「んーっ……!」
 ねっとりとアヤハの粘膜をたしかめて、フランシスの舌がアヤハの舌を探る。
 ――ダメ、なんかおかしくなりそう……
 逃げるなとばかりに舌先を押し当てられ、こわばった体を抱きしめられる。
 次第に意識が朦朧としてきて、アヤハは彼の黒いマントにすがりついた。
「ああ、いやらしい顔で俺のくちづけを求めるものだ。キスだけで、そんなにイイ顔をするなんてずいぶん淫乱な処女だな?」
「ば、か……っ」
 こんなことをしていてはいけない。早く終わりにしなければ。頭ではそうわかっているのに、初めてのキスはあまりに心地よくアヤハを感じさせた。
 どちらからともなく、引き寄せられるようにキスを繰り返しては、吐息を閉じ込めるように舌を絡ませる。
 童貞と処女のくちづけは、想像よりも激しかった。
 アヤハだけではなく、フランシスも感じているのか。彼の舌はだんだんと大胆な動きにかわりはじめ、アヤハの舌を焦らすように螺旋を描く動きで翻弄する。
「ん、んーっ、ぁ……や、ああ……」
 ――何、この声。嘘でしょ、わたしの声?
 恥ずかしさに必死で顔を背けると、逃げた先にフランシスが顔を寄せてきた。
「その声、もっと聞きたい……」
 フランシスの麗しき美貌が、恍惚とした笑みで色香を増す。
 青い瞳が艶冶に色めき、アヤハを見つめて舌先で唇を舐める。
「キスだけじゃ、足りないだろう?」
「そ、そんなの知らな……」
「俺は足りない。思っていたよりずっと淫らなおまえの体を、もっと愉しみたい」
 ――……わたしも、もっと……

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