●著:竹輪
●イラスト: なま
●発売元:三交社
●発行元:メディアソフト
●ISBN:9784815543334
●紙書籍発売日:2024/1/30
●電子版配信日:2024/2/29
理解したか? 君の夫は、君に夢中だ
側妃の娘ミーナは肩に手形のような痣があることから「厄災姫」と呼ばれ虐げられていたが、母国が敵対する帝国に占領されると、帝国皇弟オーガストに見初められ、妻として帝国に連れ去られる。
変装ですぐには気付けなかったが、オーガストは祭りの夜に知り合い心惹かれた青年だった。
「君が思うよりもずっと私は君を愛している」
人質代わりの身のはずが、彼はミーナを溺愛し大切にしてくれて!?
そして、とうとう結婚式の日がやってきた。
仕上がった純白のドレスに身を包むと神聖な気持ちになった。
フリルとレースのついた豪華なドレスに完全に中身が負けている気もしたが、オーガスト様の顔をつぶしてはいけないと背中をピンと伸ばした。
「とてもお美しいですよ」
化粧を施してもらって、髪に花をつけてもらうと仕上げにメアリーが私の姿を褒めてくれた。
もちろん肩の痣もきれいに隠してしまっている。
ちょっとした自信をもらうと、オーガスト様が迎えにやってきた。
黒髪を軽く後ろに撫でつけ、勇ましく大きな体は正装をするととても迫力がある。
ああ、なんてかっこいいのだろう。
うっとりして見ていると手を差し出されたので、その手に自分の手をのせた。
すると、ちゅっとオーガスト様がキスを贈ってくれた。
「ああ、ミーナ。とてもきれいだ」
褒められて有頂天になる。
彼にそう言ってもらえるだけでもう後はどうでもいいとさえ思うのだ。
「さあ、行こうか」
大聖堂に着くと先帝陛下とアンリ様がいた。あとはオーガスト様の祖父母。ここでのメンバーはこれだけだ。けれど、その方が緊張しなくていい。
みんなに祝福してもらって、結婚式はつつがなく終わった。
約束してくれたパイプオルガンもいっそう美しい音色を奏でていた。
「もうひと頑張りしてくれ」
「はい」
この後宮殿の会場で簡単にお披露目がある。
オーガスト様の部下たちも私を見るのを楽しみにしているらしいと聞いてドキドキする。
それが終われば私は正式にオーガスト様の妻と周囲に認知されるのだ。
この人の妻として隣に立って、恥ずかしくない人間になろう。
隣でやさしく微笑むオーガスト様に微笑み返して、私は静かにそう誓った。
「準備はあれほどかかったのに、式はあっという間に終わりましたね」
「ああ。でも準備した甲斐はあった。ミーナのこんなにきれいな姿が見られたんだから」
そんなことを言ってくれるオーガスト様に照れてしまう。
宮殿の一室に入り、一休みしたらドレスを披露パーティ用に着替えて会場に向かわなければならない。
「もう着替えますか?」
せっかくここまできれいにしてもらったが、いつまでも純白のドレスを着ているわけにはいかない。
時間はまだ十分あったけれど、脱いでしまった方がいいかとメアリーを呼ぶベルを手に取った。
チリンと微かに鳴らすとオーガスト様がその手を押さえるように握ってきた。
「もう少し、ミーナのその姿を眺めていたい」
「それは……私だってオーガスト様のかっこいい姿はまだ眺めていたいですけれど」
「ドレスを脱がすくらいは私にもできる」
「オーガスト様が?」
脱ぐのを手伝う? そう聞いただけで顔が真っ赤になった。
「ミーナ、そんな顔をするな。いじめたくなる」
「い……いじめるって……」
「ウエディングドレスの下はどうなっているんだ?」
「え?」
「特別な下着なのか?」
「そ、そうですね」
今日はとても面積の少ない下着を身に着けている。
オーガスト様が気にするなんて思っても見なかったが、かなりセクシーなものだと思う。
「見せてくれないか?」
「み、見せて?」
にやり、と笑うオーガスト様も魅力的だ。そして、こうなったら止まらないことも知っている。
けれど頑張ってドレスをたくし上げても、プリンセスラインのスカートのボリュームでせいぜいふくらはぎが見える程度だった。
「え、嘘っ」
すると、オーガスト様がスカートの中に潜り込んできてしまった。
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